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MICROSOFT CORPMSFT
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- 企業概況
- 世界最大のソフトウェア開発会社。1990年代に互換性の高さでIBMに代わり業界の覇者に。PC用OS世界首位「ウィンドウズ」手がける。「アジュール」などクラウドが急拡大し稼ぎ頭に。ゲーム機「エックスボックス」、ノートPC「サーフェス」も。生成AI「ChatGPT」のOpenAIに大型出資、同技術を検索エンジン「ビング」などに活用。2023年10月にゲーム大手アクティビジョン・ブリザードを754億ドルで買収。
- 業績概況
- 24年6月期は同年10月買収のアクティビジョン貢献。アジュールなどクラウド好調。「ダイナミクス」「リンクトイン」も堅調。サーフェスなどデバイス苦戦でも増収増益。25年6月期もAI需要増を背景にクラウドが高成長。オフィスの法人向けサブスクも拡大続く。投資負担増吸収し連続増益へ。
- テーマ
- クラウド・ビッグデータ、セキュリティー
- ブランド
- Windows(基本ソフト)、Office(業務用ソフト)、Xbox(ゲーム機)、Azure(クラウド)
- ライバル企業
- Amazon.comAlphabetAppleMeta PlatformsWalt Disney Co
- 同業種の日本企業
- NTT富士通ソニーグループ任天堂シャープ
事業内容
MICROSOFT CORPは、企業と個人向けに幅広いデジタル製品とクラウドサービスを提供する大手テクノロジー企業です。主力は企業向けのクラウド基盤(Azure)や生産性向上のためのソフト(Microsoft 365)で、加えてパソコン向けOS(Windows)、ゲーム(Xbox)、端末(Surface)、プロフェッショナル向けのネットワーク(LinkedIn)など多岐にわたるサービスを運営しています。
同社の主要顧客は大企業や中小企業、政府機関、開発者、個人消費者であり、クラウド利用料やサブスクリプションの継続課金が収益の中核です。加えてライセンス販売やデバイス販売、検索やニュース広告、ゲーム内課金などが収入の補完要素になっています。
同社は事業を三つのセグメントで管理しており、生産性・業務プロセスにはMicrosoft 365やLinkedIn、Dynamicsなどの業務アプリを含めています。インテリジェントクラウドにはAzureやサーバー製品、エンタープライズ向けサービスがあり、More Personal ComputingではWindows、デバイス、ゲーム、検索広告といった消費者向け事業を展開しています。
経営方針
同社は長期的に持続的な成長を目指しています。具体的にはクラウドと人工知能(AI)を軸に収益拡大を図りつつ、株主還元も重視しており、2025会計年度は自社株買いで3,100万株・約130億ドルを実施し、配当で約246.8億ドル(年間1株当たり合計0.83ドル×4回=3.32ドル)を支払いました。取締役会は総額600億ドルの自社株買い枠を承認しており、2025年6月30日時点で約573億ドルが利用可能な状況です。市場規模や資本効率の観点で、同社は売上成長とキャッシュリターンの両立を目指しています。
同社は成長の重点領域へ選択と集中で投資することを目指しています。主要領域は、開発者・企業向けのクラウドサービス(Azure)と生産性スイート(Microsoft 365、同社は商用コンポーネントを「Productivity and Business Processes」へ統合)、生成AIを組み込んだ「Microsoft 365 Copilot」などのAIツール、そしてセキュリティとアイデンティティ管理です。差別化要因としては、グローバルなデータセンターの規模と企業向けの包括的なセキュリティ・管理機能、OfficeやTeamsなど既存アセットとの連携により「ワンストップで導入・運用できる」提案を強化しています。ゲーム分野では2023年に約754億ドルで買収したActivision Blizzardの統合でモバイル・コンソール・クラウドを横断する展開を狙っています。
同社は新市場の開拓と事業拡大を通じて顧客接点を増やすことを目指しています。AI需要に対応するためデータセンターの拡張に注力しており、建設コミットメントは約321億ドル、データセンター関連を含む購入コミットメントは約1,039.4億ドルに上ります。また、LinkedInやDynamicsのクラウド化、Xbox Game Passなどのサブスクリプション拡大を通じて、既存顧客へのクロスセルと定常収入の拡大を図っています。組織面でも2024年8月のセグメント再編で商用M365を統合するなど、営業・開発体制を市場戦略に合わせて再整備しています。
同社は技術革新と責任ある運用を両立させることを目指しています。研究開発と基礎研究への継続投資により生成AIやエッジコンピューティングの技術を磨き、OpenAIとの協業を含めたAI基盤の構築を進めています。安全性対策では2023年11月に始動し2024年5月に拡大した「Secure Future Initiative(SFI)」で「設計段階からのセキュリティ」「デフォルトで有効な防御」「継続的運用改善」を掲げ、責任あるAIやサイバー防御を強化しています。加えて2030年までにカーボンネガティブ等の環境目標を目指すなど、技術革新を持続可能性と結びつける取り組みも進めています。