AMAZON COM INCAMZN

時価総額
$2.32兆
PER
オンライン・実店舗中心の小売とクラウドの米国最大手。Prime、Kindle、Echo、AWSを展開。2022年3月のMGM買収(約61億ドル)、2023年2月のOne Medical買収(約35億ドル)。米・欧・日中心に展開。

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企業概況
EC世界最大手。書籍、ゲーム、家電、日用品、食料品まで幅広い品ぞろえ。在庫リスクを負う仕入れ販売に強み。利益の6割超を稼ぐクラウドサービス「AWS」が成長牽引。ECサイトや動画上での広告事業にも注力。ドローン配送、自動音声認識のアレクサ、生成AIなど先端技術に積極投資。23年に2万7000人の人員削減。ロボット掃除機「ルンバ」を手がけるアイロボットの買収は欧州当局の承認得られず撤回。
業績概況
23年12月期は北米とAWSが牽引、為替逆風でも増収。配送効率化も寄与。投資負担を吸収し営業利益回復。新興EVのリビアン株評価損減り純損益黒字復帰。24年12月期も企業の生成AI向け投資拡大、好採算のAWSが牽引。北米好調続く。人員削減や配送網見直しによるコスト減が寄与。純利益大幅増。
テーマ
バフェット銘柄、クラウド・ビッグデータ、IoT・自動運転、EV
ブランド
Amazon Prime(会員サービス)、Kindle(電子書籍)、AWS(クラウドサービス)、Alexa(音声サービス)
ライバル企業
Microsoft CorpAlphabetAlibaba Group Holding WalmartNetflix
同業種の日本企業
楽天グループLINEヤフーサイバーエージェントNTT富士通

事業内容

AMAZON COM INCは、インターネットと実店舗を通じて多種多様な商品を販売する小売事業を中核に、デバイスやデジタルコンテンツ、クラウドサービスまで手掛ける複合的な企業です。同社は自社販売と第三者出品を並行して扱い、KindleやEcho、Ringなどの電子機器や映像・音楽コンテンツも製造・配信しています。

同社の主要な顧客は個人消費者に加え、第三者出品者、開発者や法人、広告主、コンテンツ制作者など多岐にわたります。収益は商品の直接販売に加え、出品手数料や配送・フルフィルメント収入、サブスクリプション(Prime等)、広告収入、そして高い利益率を持つクラウドサービス(AWS)から得ています。

同社の事業は大きく北米、国際、Amazon Web Servicesの三つの営業セグメントに分かれます。製品ラインではオンライン・実店舗の小売、物流とフルフィルメント、デバイス、映像や音楽などのデジタルメディア、広告サービス、サブスクリプション、クラウド基盤サービスといった幅広い領域を展開しています。

経営方針

同社は引き続き売上成長と収益改善を両立することを目指しています。直近のガイダンスでは2025年第1四半期の純売上高を1510億〜1555億ドル、前年同期比で5〜9%の成長を見込んでおり、営業利益は140〜180億ドルを想定しています。世界規模での事業展開により米ドルの為替変動リスクを管理しつつ、株式報酬(同社は制限付株式ユニットを主に用いる)で従業員の長期的なインセンティブを維持し、発行済株式数(有償・無償含む)は2024年末時点で約109億件である点も開示しています。

同社は差別化の源泉としてクラウド(AWS)、物流と配送網、幅広い品揃えと低価格、会員サービス(Prime)を重視して投資を行っています。具体的施策として、データセンターや専用チップの導入、世界各地のフルフィルメント拠点拡充、広告サービスの強化、デバイス(Echo、Fireなど)とコンテンツ制作の両面に資金を振り向けています。過去の大型買収では2022年のMGM買収に約61億ドル、2023年のOne Medical買収に約35億ドルを投じるなど、既存事業の補完や会員接点強化を図っています。

新市場の開拓では国際展開と新規事業への攻めを継続しています。医療や映像コンテンツといった顧客接点領域に加え、衛星を使った全地球ブロードバンド事業や自動運転技術を活用したライドヘイリングへの取り組みを公表しており、2024年には買収・出資活動として合計で約7.8億ドルの案件を完了させています。さらに人工知能分野ではAnthropicへの転換社債投資を段階的に拡大しており、これまでに約5.3億ドルを投じ、2024年末時点でこれらのノートの推定時価は約138億ドルと評価されるなど、将来の事業拡大に向けた戦略的資本配分を行っています。

技術革新への取り組みは同社戦略の中核です。同社は処理能力の向上やデータ保存・解析コストの低減、実用的な人工知能・機械学習の応用を通じて顧客体験を高めることを目指しています。これに対応してAWSは計算、ストレージ、データベース、分析、機械学習といったオンデマンドサービスを拡充し、社内では専用チップやソフトウェアの効率化、AIパートナーへの資本参加といった具体的施策で差をつけようとしています。同社は革新と財務効率のバランスを取りつつ、長期的な競争優位の構築を志向しています。