Walmart Inc.WMT

時価総額
$8539.7億
PER
小売・倉庫型会員制クラブ運営の最大手。グローバル供給網とeコマース、AI活用のフルフィルメント網を展開。2022年11月承認の200億ドルの自己株買いと2025年2月20日発表の1株当たり年配当0.94ドルの増配。米国中心に世界数十カ国で展開。

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企業概況
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業績概況
131文字)
テーマ
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ブランド
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ライバル企業
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同業種の日本企業
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事業内容

Walmart Inc.は米国を拠点とする世界最大級の小売企業で、食品や日用品、衣料、家電など幅広い商品を実店舗とオンラインで販売するとともに、会員制倉庫店を運営しています。 同社は大量仕入れと効率的な物流を強みとし、低価格で日常消費財を提供しています。

主要な顧客は一般消費者と会員を含む個人客で、生活必需品や季節商品の購入が中心です。同社の収益は店舗売上とオンライン売上が大きな割合を占め、そこに会員費や広告収入、金融・医療関連のサービス収入が加わっています。 売上は季節変動があり、年末商戦の第4四半期に高まる傾向があります。

事業は主に米国小売、国際事業、会員制倉庫店の三つのセグメントで構成され、超大型店や小型食品店、オンライン販売と配送センターを全国・各国で展開しています。同社は生鮮食品、家庭用品、衣料、薬局商品など多様な製品ラインをそろえ、広告やオンライン注文の受け渡し・宅配といったサービスも提供しています。 今後はデジタル化と物流への投資を通じて、オンラインと実店舗の連携強化とサービス収益の拡大を図っています。

経営方針

同社はオムニチャネル戦略を通じて売上拡大と株主還元の両立を目指しています。ネット販売の拡大や既存店の比較売上(コンパラブルセールス)向上を重視しており、実績としてサムズクラブ米国のネット販売は2025会計年度で約121億ドルに達しています。株主還元では、年次配当を2026会計年度に0.94ドル(前年度0.83ドル)へ引き上げ、四半期ごとに0.235ドルを支払うことを決定するとともに、20122年11月承認の総額200億ドルの自社株買い枠を活用中で、2025年1月31日時点で約120億ドルの買い戻し余地が残っています。2025会計年度は合計6190万株を平均価格72.72ドルで買い戻し、約44.94億ドルを投じました。

差別化の柱は規模を生かした低価格と利便性の両立です。同社は大量調達に基づく仕入れ力を活用し、特に生鮮品は販売地域に近い生産者から調達することでコストと鮮度を両立させています。顧客に対しては店舗とネットを連携させた同日受け取りや配達サービスを拡充し、広告やヘルスケア、金融サービスなどを組み合わせた「ワンストップ」の提供で競合と差別化を図っています。これらの取組みは、在庫や配送の精度向上、加盟店や会員向けサービスの強化にもつながっています。

新市場開拓や事業拡大については、国際事業や戦略的提携を通じた成長を志向しています。フリップカートなどへの出資や海外の事業展開を通じて、地域ごとの消費構造に合わせたサービス提供を進めています。一方で新規店舗や会員制倉庫店(クラブ)の出店は「節度ある」ペースに調整しつつ、既存店の改装や物流拠点の拡充に資本を振り向けることで効率的な成長を図っています。なお、同社には未計上の購入義務が約372億ドルあり、そのうち159億ドルが1年以内の支払見込みで、これらも事業拡大や供給網維持のための資金運用に関連しています。

技術革新には積極的に投資しており、人工知能(AI)や自動化技術を物流・在庫管理・顧客体験の改善に活用しています。社内の財務・業務システムの刷新や業務プロセスの自動化により、開発したアルゴリズムを発注・配送ルート・価格設定に反映させる取り組みを続けています。また、同社はオムニチャネルの運営効率を高めるために物流拠点(フルフィルメントセンター)を増強し、これらの投資が短期的には費用に計上される一方で、長期的には店舗とネットをつなぐ顧客関係の深化と費用削減につながると見込んでいます。