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東洋電機製造JP:6505
事業内容
東洋電機製造は、交通・産業・情報通信分野向けの電気機械器具の設計・製造・販売と、それに付随する据付工事や保守を行う企業です。同社は鉄道車両や特殊車両向けの電機品、産業用の制御・電源設備、駅務機器やクラウドを使った遠隔監視システムなどを主力にしています。
主要な顧客は国内外の鉄道事業者や車両メーカー、産業メーカー、上下水道などの公共事業者で、同社は機器販売に加えてシステムの設計・据付工事や保守点検で収益を得ています。さらに、クラウド型の遠隔監視・制御サービスなどの契約型サービスが継続的な収入源になっています。
事業は交通事業、産業事業、情報通信ソリューション事業の三本柱で展開しています。交通事業は鉄道車両向け電機品や電力貯蔵装置を扱い、産業事業は生産・加工設備や自動車試験装置、発電・電源システムや車載用電機品を手掛け、情報通信事業は駅務機器とクラウド型の遠隔監視・制御を中心に展開しています。
経営方針
同社は「中期経営計画2026」において、売上高400億円、営業利益率5%、ROE(自己資本利益率)8%を目標に掲げています。これらの主要数値は最終年度を前倒しして2025年5月期に達成しており、実績は売上高約405.3億円、営業利益約23.8億円で営業利益率は約5.9%、ROEは8.0%に達しました。しかし同社はここで安堵せず、持続的な成長のために既存事業の収益体質強化と資産効率改善を継続し、計画を着実に完遂することを目指しています。
重点投資分野として同社は、脱炭素化や省エネを意識した鉄道機器・電力貯蔵装置、電動化対応の自動車試験装置、省エネ・省メンテナンス型の生産設備、非常用発電・電源システム、そしてクラウドを活用した遠隔監視システムに資源を配分しています。差別化の源泉は、電機品の設計・製造だけでなく据付工事や保守まで一貫して提供できる点と、品質重視のものづくりに裏付けられた信頼性です。こうした一体提供により設備導入後の保守契約やクラウド型サービスといった継続収入の拡大を図っています。
新市場開拓では国内外で異なる戦略を採っています。国内は鉄道事業者の更新需要を取り込み、脱炭素化や作業省力化に資する機器の置換需要に注力します。海外は中国向けの保守部品供給やインドネシアでの車両投資を狙い、現地ニーズに応じた受注拡大を目指します。またICT分野ではキャッシュレス・チケットレス化に対応する駅務機器や、移動体・設備の遠隔監視サービスを強化して事業領域を広げる計画です。
技術革新への取り組みとして同社は、電力貯蔵や遠隔監視のソフトウエア開発、省エネ化を実現する装置設計などに研究開発投資を継続します。加えて人的投資や営業力強化により受注拡大を図り、資本効率改善のために政策保有株式の削減や運転資本の圧縮を進めます。株主還元面では配当性向30%以上(下限30円)を維持し、機動的な自己株式取得も継続する方針で、これらを通じて企業価値の向上を目指しています。