WestRock CoWRK

時価総額
$1
PER
紙・段ボール包装の北米最大手。高強度のコンテナボードや折りたたみカートン、販促ディスプレイとプラスチック代替のパウチ製造機械ソリューションを展開。2022年12月1日にメキシコ企業を買収(買収対価約14.14億ドル)。北米・中南米・欧州・アジア・豪州で展開。

事業内容

WestRock Coは、紙と梱包材を中心に事業を展開する大手企業で、容器用紙や紙板を原料に段ボール箱や折りたたみ紙箱、店頭用の販促什器などの包装ソリューションを製造しています。同社は製紙工場と加工工場を自社で持つ統合体制を採り、資源調達から設計・印刷・組立て・自動化まで一貫して手掛けています。

同社の主要顧客は食品、日用品、化粧品、工業製品メーカーや大手小売業で、製品の保護・輸送や店頭での販売促進を目的とした包装を中心に売上を上げています。収益構造は段ボールなどの梱包製品の販売が中心で、外部販売と自社の加工部門への内販を組み合わせた垂直統合型になっており、特定の顧客に依存しない分散した売上基盤を持っています。

同社の事業は大きく紙の製造部門と段ボール等の加工部門に分かれ、製造部門では新たな木材由来の原料と再生パルプの両方を使う工場を運営し、加工部門では紙の貼り合わせ、印刷、切断、組立てまで行います。加えて高品質印刷やグラフィック製品、高度な包装機械や持続可能な素材の開発にも力を入れ、北米を軸に中南米や欧州、アジアにも事業を展開しています。

経営方針

同社は投下資本利益率の向上と資産パフォーマンスの最大化を成長戦略の柱としています。具体的には買収や資産の組み替えで製品・地理的な範囲を広げ、比較優位を高める方針で、近年ではメキシコの統合包装事業を現金9億6,980万ドルで取得し(取得対価合計は約14.14億ドル)、同事業の年間売上約11億ドル、総資産約27億ドルを取り込むなど、ラテンアメリカでの拡大を図っています。資本配分では債務削減とレバレッジ低減を重視しつつ、株主還元も継続しており、2023会計年度は年間配当1.10ドルを支払い、2023年10月には四半期配当0.3025ドル(年率換算1.21ドル)を宣言しています。

重点投資分野は段ボール(コルゲート)や消費者向け包装、高付加価値の紙器・グラフィック印刷領域で、競合との差別化は製品設計・グラフィック品質・サービスといった面で図っています。工場の垂直統合を生かして原料調達や生産ローテーションを最適化するほか、包装機械や自動化ソリューションに投資して、顧客へのターンキー導入やライン統合を提供することで付加価値を創出しています。具体例としては、単体でプラスチックを置き換えるパウチやバブルメールの製造機械を提供するなど、製品面での差別化を進めています。

新市場や事業拡大の計画としては、今回のメキシコ買収のように地域・エンドマーケットの多様化を優先し、将来も条件が整えば追加的な買収や投資を評価する姿勢を明示しています。報告セグメントではコルゲート包装、消費者包装、グローバルペーパー、流通といった事業を通じて各地域での供給網を拡大し、内部調達の柔軟性を生かしてミル間の稼働配分を調整することで需要変動に対応するとともに、市場シェアの拡大を目指しています。

技術革新への取り組みでは、2022年度第4四半期に着手した多年度の基幹業務システム改革(クラウド基盤のERP導入)を中核施策としています。製造、サプライチェーン、調達、見積〜回収、会計、分析といった業務を標準化・自動化してプロセス効率と生産性を高めることを狙いとし、将来的なデータ活用や分析基盤の強化にもつなげる計画です。一方で大規模導入は費用・実行リスクや移行による業務中断の可能性もあるため、管理体制とデータガバナンスを重視して慎重に進める戦略です。