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WideOpenWest, Inc.WOW
事業内容
WideOpenWest, Inc.は米国の一部地域を対象に、住宅および事業者向けに高速インターネット、ケーブルテレビ、音声サービスを提供するブロードバンド事業者です。同社は高速データを中核に据えたサブスクリプション型サービスを展開し、統合されたネットワークを通じて個別サービスや複数サービスのセット販売を行っています。
同社の主要顧客は個人の加入者で、加えて企業向けに専用回線や付帯サービスを販売しています。収益は月額の継続収入が中心で、サービスのバンドルや付帯機器・技術サービスによる売上が利益に直結し、顧客獲得と維持が収益性の鍵になっています。
同社の事業は財務上一つの「ブロードバンドサービス」セグメントとして一括して計上しています。主な製品ラインは高速データ、ビデオ、電話の三本柱で、ネットワークの拡張や改善、自己設置オプションや迅速な技術者対応などを通じて顧客体験の向上と解約抑制を図っています。
経営方針
同社は「ブロードバンド・ファースト」戦略を掲げ、高速インターネットを軸に収益性の改善と顧客基盤の拡大を目指しています。具体的には、2024年末時点でネットワークが約196万戸に到達し、顧客数は47万8,700件、浸透率は約24%にとどまっているため、まずは既存のカバレッジにおける加入率向上を狙っています。新規獲得でも約93%が高速インターネット単独の契約を選んでおり、この需要を捉えることで平均収益の引き上げを目指しています。業績面では2023年の純損失約2億8,770万ドルから2024年は約5,880万ドルへと損失幅を縮小しており、収益構造の改善を進めています。
同社は差別化の柱としてネットワーク投資と維持管理に重点投資を行っています。自社の光ファイバーと同軸ケーブルを組み合わせたネットワークに継続的な設備投資を行い、約99%のサービスエリアで最大1.2ギガ(1,200Mbps)、新規開発地域では最大5ギガ(5,000Mbps)を提供可能にしていることが特徴です。セグメント別の主要支出では、フィールド運用や請求システム・ソフトウェア等にも投資を割き(2024年の請求システム関連支出は約1310万ドル、フィールド運用は約2,020万ドル)、安定した品質と価格競争力で他社との差別化を図っています。
事業拡大の計画としては、既存の18市場(アラバマ、フロリダ、ジョージア、ミシガン、サウスカロライナ、テネシーなど)での浸透率向上に加え、グリーンフィールド(新規開発)市場での光ファイバー展開を進めています。これら拡大と改修のための資金基盤も整備しており、2024年末時点で有利子負債残高は約10.2億ドル、借入余地は約1.5億ドルを確保するとともに、優先クレジット合意により2億ドルの新規タームローンを導入するなど、成長投資に必要な資金を確保しています。経営は統合ネットワーク全体で資本配分を行う方針で、個別事業ではなく統合的な回収を重視しています。
技術革新への取り組みでは、顧客体験向上と運用の効率化に注力しています。ネットワーク側は先述の高速化と容量増強を続ける一方で、自己導入オプションや技術者の到着時間を2時間枠で設定するなど顧客接点の改善を図っています。また内部統制や情報システム面でも改善を進めており、収益認識を支えるシステムの変更管理や提供データの照合手続きなどを強化して以前指摘された統制の弱点を是正しています。これらの技術・運用両面の改善により、顧客維持と単価向上を同時に実現することを目指しています。