ENERGY FUELS INCUUUU

時価総額
$29.5億
PER
ウラン・HMS・希土類事業の有力企業。U3O8や混合RE炭酸塩、分離RE酸化物の回収・生産設備を展開。2024年10月に豪州HMS企業を買収、2024年6月にDonaldプロジェクトでJVを締結。米国・ブラジル・ケニア・マダガスカル・豪州で展開。

事業内容

Energy Fuels Incは、主にウランの採掘・精製と、それに伴う副産物や希土類関連の回収を手掛ける米国拠点の鉱業会社です。同社は自社の採掘プロジェクトと米国内の製錬ミルを使ってウラン濃縮物の生産を行い、ヴァナジウムや希土類の中間製品も取り扱っている。

売上の中心は大手原子力電力会社へのウラン販売で、そこにヴァナジウムや重鉱物砂由来の製品、希土類製品の販売が加わる形で収益を得ている。顧客の信用状況を監視し、必要に応じて前受金や支払い保証を求めるなど未払リスクの管理を行いながら、市場価格や供給の変動で収益が変動する構造だ。

事業はウラン、重鉱物砂(HMS)、希土類(REE)の三つのセグメントで運営している。ウラン部門は従来採掘や地中溶出回収、再生材の処理でウランを供給し、ミルでヴァナジウムを副産物として回収している。HMS部門はイレメナイトやルチル、ジルコン、モナザイトといった鉱物を取り扱い、希土類部門はモナザイトからの混合希土類炭酸塩の生産を進めつつ、将来的には分離回路を拡大して分離した希土類酸化物の量産を目指している。

経営方針

同社は事業の多角化と規模拡大を成長戦略の中核に据えています。具体的には、従来のウラン事業の立て直し・増産を図ると同時に、重鉱物砂(HMS)由来のモナザイトを原料にしたレアアース(REE)事業を急速に拡大することを目指しています。2024年10月のBase Resources買収により、Baseは同年末時点で連結総資産の約41%、連結売上高の約51%を占めるようになり、同社はこれを活用して原料確保と生産能力向上を進めています。資金面では、ATMによる普通株発行で約6,001万米ドルの純調達を行い、事業拡大のための運転資金と設備投資に充てています。

同社は重点投資分野として、ユタ州のWhite Mesa(ホワイト・メサ)製錬所の加工能力強化、Bahia(ブラジル)、Kwale(ケニア)、Toliara(マダガスカル)、およびDonald(オーストラリア、JV)といったHMS鉱山の開発、そしてウラン鉱床の維持・再稼働に資本を振り向けています。差別化戦略は「鉱山から製品までの垂直統合」にあり、モナザイトを自社で確保して同社の製錬所で混合RE炭酸塩を生産してきた実績(2021年以降)を足がかりに、将来的には分離工程まで国内で完結させて米国・同盟国向けに供給する点にあります。既存の製錬所だけでも最大で年間約1,000トンのNdPr相当を処理できるとし、さらに原料確保で年間約4,500トン相当のNdPrを見込める鉱山群を押さえています。

新市場開拓と事業拡大については、Base Resourcesの完全統合(買収日は2024年10月2日)や、2024年6月のAstronとのDonaldプロジェクトJV締結などで海外の原料供給網を確保したうえで、2027〜2028年をめどに製錬所の「フェーズ2」分離回路を完成させ、年間最大6,000トンのNdPr相当と200〜300トンのDy/Tb相当の分離品を目標としています。これにより、同社は国内外の需要家に対して安定供給を打ち出し、米国中心のサプライチェーン回復に寄与することを狙っています。買収後の統合や内部統制の強化も優先課題とし、Baseを含めた内部統制評価を2025年第4四半期から順次組み込む計画です。

技術革新への取り組みとして、同社は製錬所での完全なレアアース分離能力の実現と、放射性同位体を利用した標的アルファ療法(TAT)用の医療素材回収の商業化を進めています。製錬所の工程改良や分離回路建設に加え、サイバーセキュリティと財務報告の内部統制にも投資し、KPMGによる2024年12月31日時点の内部統制評価を受けるなどガバナンス強化を図っています。また、経営陣・従業員のインセンティブとして株式報酬(2025年1月29日のRSUやストックオプション付与など)を実施し、技術開発と事業実行の両面で人材の定着と成果連動を促す施策を講じています。