MILLICOM INTERNATIONAL CELLULAR SATIGO

時価総額
PER
モバイル・固定通信やペイテレビの通信事業の大手。モバイル金融Tigo Moneyやブロードバンドを展開、2024年12月時点でモバイル顧客4,150万人。2025年3月にテレフォニカ・コロンビア67.5%買収合意。中南米9カ国展開。

事業内容

MILLICOM INTERNATIONAL CELLULAR SAはラテンアメリカを中心にTigoブランドで携帯通信と固定通信、デジタルサービスを展開する通信事業者です。同社はモバイルの音声・データサービスや家庭向けのブロードバンド・ペイテレビ・固定通話に加え、銀行口座不要で送金や決済ができるモバイル金融サービス「Tigo Money」などを提供しています。

同社の顧客は個人(プリペイド中心の携帯利用者や固定回線の家庭)と法人・政府機関で、2024年末時点で約4,150万のモバイル顧客と4.5万件(※注:文脈上は450万の顧客関係)程度の固定サービスの顧客関係を有しています。収益はモバイルと固定サービスが中心で、固定・その他サービスが2024年にはサービス収入の約40%を占め、Tigo MoneyはARPU向上や解約抑止に貢献しています。

事業は国別のセグメントで運営し、主要なサービスラインはモバイル(プリペイド/ポストペイド)、モバイル金融、家庭向け固定サービス、そしてB2B向けの通信・マネージドサービスやクラウド・セキュリティ等です。同社は広域に展開する光ファイバー、基地局、データセンター、タワーなどのインフラを活用し、法人向け付加価値サービスの拡充や戦略的提携・資産再編による成長と収益改善を目指しています。

経営方針

同社は「利益ある成長」を掲げ、事業の収益性向上とキャッシュ創出を重視しています。具体的には組織の簡素化や経費削減を進め、2024年には年間の株主に帰属するフリー・エクイティ・キャッシュフローの増加を図る施策を実行しました。顧客基盤はモバイルで約4,150万人、固定系の顧客関係は約450万件(うち光・HFC接続は約400万件)と大規模であり、これらの既存市場での収益最大化を短中期の主要目標としています。同社はこの取り組みにより安定的な現金創出を目指しています。

投資の重点は固定ブロードバンドとネットワークインフラ、並びにモバイル金融サービスです。ネットワーク面では20万キロを超える光ファイバーや約9,300本の基地局、Tier III相当のデータセンター12拠点といったインフラ整備に重点投資を行い、HFC/FTTHを中心に速度・品質を改善することで他社との差別化を図っています。モバイル金融サービス「Tigo Money」は2024年末で約370万人の利用者を抱え、決済や送金、融資などを通じてARPU(利用者あたり収益)向上と解約率低下に貢献する収益源として育成しています。加えて、タワー資産の分社化・売却(Latiの一部売却等)を通じて資金調達と資産効率化を進めています。

新市場開拓と事業拡大はM&Aを軸に加速しています。直近ではコロンビアのTelefónica Colombia(Coltel)67.5%の取得を含む交渉を行い、これに約10億米ドル規模の投資を見込んでいます。また、コスタリカでは競合の事業者と現地事業を統合する現金を伴わない合併を予定し、同社は統合後も約14%の少数持分を保有する見通しです。さらにTigo Moneyの価値向上を目的に戦略的パートナーとの提携や部分的・全面的な売却検討も進めており、既存市場の深耕と選択的な外部成長を組み合わせることで市場シェアと収益性を拡大しようとしています。

技術革新については、ネットワークの次世代化とデジタルサービス拡充が柱です。光ファイバーの敷設、固定無線や周波数帯(スペクトラム)取得によるモバイル容量・カバレッジ強化、データセンターとクラウド連携による法人向けソリューションの拡充を進めています。MFSではリアルタイム送金や与信・保険といった機能をアプリで提供し、銀行口座を持たない層まで含めた顧客接点を拡大しています。加えて、サイバーセキュリティやESG開示の強化を経営課題に位置づけ、技術・コンプライアンス両面での投資を継続しています。