AT&T INC.T

時価総額
$1824.8億
PER
通信事業の米国最大手。移動体通信、企業向けイーサネット型ファイバー、消費者向けマルチギガ光回線、固定無線AIAを展開。2022年の3.45GHz落札(1,624ライセンス)、2022年4月のWarnerMedia分社化、2024年9月のDIRECTV売却合意。米国・メキシコ中心の展開。

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企業概況
115文字)
業績概況
テーマ
2項目)
ブランド
2項目)
ライバル企業
2社)
同業種の日本企業
3社)

事業内容

AT&T Inc.は米国を拠点とする大手通信事業者で、携帯電話を中心とした無線サービスと光ファイバーを基盤とするブロードバンドサービスを提供しています。端末やネットワーク機器の販売に加え、商用ライセンスやソフトウエア関連の権利利用も行い、5Gや光回線の整備を重視しています。

同社の顧客は個人の携帯・家庭向けインターネット利用者、企業や公共機関など幅広く、メキシコを含む地域にも事業を展開しています。収益は月額の利用料や端末販売、企業向けの回線・管理サービスなどの継続的な売上が中心で、単一の顧客が売上の10%を超えることはありません。

事業は大きく分けて、移動体通信(Mobility)と企業向けの有線サービス(Business Wireline)、家庭向けの有線・固定無線サービス(Consumer Wireline)、およびラテンアメリカ向けの無線事業で構成しています。企業向けはイーサネットやIP音声、運用支援などの付加価値サービス、家庭向けは多ギガ対応の光回線や固定無線アクセス(AIA)を柱とし、コーポレート部門は管理費用や非中核資産の整理を担っています。

経営方針

同社は成長戦略の中心を「5Gと光ファイバー」に据え、固定網と移動網を結合した大容量のコンバージド・ネットワークでトラフィックを集約することを目指しています。具体的には、帯域幅需要の増大に対応するために全国規模でのファイバー敷設と5G展開を進め、低い限界コストでデータを輸送するネットワーク構築を成長の主軸としています。これを支える資産取得としては、3.45GHzのライセンス1,624件の取得で合計9,079百万ドルを支払い、Cバンド入札では合計23,406百万ドル規模の投資を行うなど、スペクトルとバックボーンの強化に数十億ドル単位の資本を投じています。

重点投資分野は消費者向けブロードバンド(光ファイバーと固定無線アクセス)、企業向けのエンタープライズ向けイーサネット型サービス、そしてモビリティの5Gです。差別化手段として同社は「ファイバーを基盤にしたワイヤ/ワイヤレスの融合」を掲げ、AT&T Internet Airのような固定無線サービスや企業向けの管理型サービスで顧客の離反を抑える方針です。また、コスト削減と調達先の多様化を狙い、エリクソン等と協業してオープン・ラジオアクセス・ネットワーク(Open RAN)を商用規模で導入しており、2026年末までに無線トラフィックの約70%をオープン対応プラットフォームで処理する目標を公表しています。

新市場開拓や事業再編では、メディア資産の切り離しやジョイントベンチャーを活用してネットワーク投資に資金を振り向ける戦略をとっています。たとえばWarnerMediaの分離で約40,400百万ドルを得ており、DIRECTVの持分についてはTPGへの売却で約7,600百万ドルの受領を想定するなど、非中核事業の処分で得た資金をファイバーや5Gの拡張に再投資する計画です。加えて、BlackRockとの合弁であるGigapowerで50%出資のもと住宅・事業者向けファイバーネットワークを拡大し、ホールセールや地域ISP向けの光回線供給でプレゼンスを強めています。

技術革新では、従来のスイッチベース網からIP・ソフトウェアベースのネットワークへの移行を進め、ソフトウェアライセンスや外部開発者との契約を通じて機能を拡充しています。Open RANは複数の供給先を組み合わせられる「開かれた仕組み」であり、これにより将来の無線技術や新たな周波数への対応を迅速化するとともに運用コストの引き下げを狙っています。加えて、取締役会と監査委員会がサイバーセキュリティや個人データ保護の監督を行い、CISOやCTOを中心にネットワークと顧客情報の安全性確保にも注力しています。