Perion Network Ltd.PERI

時価総額
PER
デジタル広告プラットフォームの最大手。AI搭載のマルチチャネル広告プラットフォームを展開。2023年12月のHivestack買収、2021年10月のVidazoo買収など複数の買収。イスラエル本社、米国・欧州・カナダ・APACで展開。

事業内容

Perion Network Ltd.は、ブランドや広告代理店、出版社をつなぐデジタル広告の技術会社です。同社は複数のデジタルチャネルで広告を配信・最適化するプラットフォームを運用し、広告の効果を高めるためにデータとクリエイティブ、配信先をつなぐ仕組みを提供しています。

主要な顧客は広告代理店、消費財や小売のブランド、大手出版社などで、収益は広告枠の販売や広告出稿に対する手数料、プラットフォーム利用料や成果に応じた契約などから得ています。プログラマティック配信や検索収益化など多様な課金モデルを組み合わせて収入を構成しています。

事業は統合プラットフォーム戦略「Perion One」を軸に、検索収益化や動画配信技術、屋外デジタル掲示の運用技術、広告配信サーバーや買い手・売り手をつなぐサービス、コンテンツ解析や配信最適化ツールといった複数の製品群で構成されています。近年はビデオ技術やDOOH(屋外デジタル広告)の企業を買収して製品を拡充し、AIを使った配信最適化で広告主の投資対効果を高めることに注力しています。

経営方針

同社は「Perion One」戦略を軸に、広告の認知から購買までの全フェーズで成長を図ることを目指しています。成長の重心はマルチチャネル戦略で、特にテレビに接続された動画広告(CTV)、屋外デジタル広告(DOOH)、および小売業向けのリテールメディアをコア成長エンジンと位置づけています。リテールメディア市場はeMarketerの推計で2024年に1,482億ドル、年平均成長率15.2%で2028年に2,607億ドルへ拡大が見込まれており、同社はこの成長を取り込むことで収益拡大を図っています。財務面では自社株買いにも積極的で、2024年末時点で約4,690万ドルを買い付け、買戻し枠は最終的に1億2,500万ドルへ拡充するなど、資本効率改善にも取り組んでいます。

同社は差別化のためにチャネル特化型の技術投資と広告効果を高めるクリエイティブ機能に重点投資しています。具体的には、購買行動や来訪経路に沿って広告を最適化する技術を開発し、個別の画面や場所に合わせたパーソナライズ配信を可能にしています。2024年には検索やCTV、DOOH向けの技術を強化し、広告主向けにより高い費用対効果(ROAS)を提供することを目指しました。研究開発にも注力しており、2024年のR&D費用は約3,670万ドル、研究開発部門には135名の従業員と外部契約者が従事している点が、技術的優位性の裏付けです。

同社は新市場開拓と事業拡大を、買収と現地パートナーシップの双方で進めています。例として、プログラマティックDOOH事業を擁するHivestackを約1.07億ドルで取得し、これにより34以上の市場へ即時に展開可能なフットプリントを獲得しました。また、ブラジルの大手メディア企業Eletromidiaや、中国の現地DSPであるWay.ioとの提携を通じて、南米やAPACの重要市場に接続しています。こうした買収と提携により、同社は統合的なソリューションを新規市場で一気通貫に提供することを目指しています。

同社は技術革新を成長の中核と位置づけ、専用のAI研究所(AI Lab)を通じて生成系を含む人工知能技術へ継続投資しています。AI Labからは、オーディエンスを細分化するSORT®、生成AIを用いた動的オーディオ広告のWAVE、データに基づき広告素材を自動生成するDCO(動的クリエイティブ最適化)、イン広告チャットボットなどの製品が既に投入されており、これらをCTVやDOOHを含む各チャネルへ展開しています。研究拠点はイスラエル、欧州、カナダにあり、同社は今後も技術投資とパートナー連携で運用効率と広告効果の両方を高めることを目指しています。