MARCUS CORPMCS

時価総額
$4.6億
PER
映画館とホテルの運営を手掛ける大手。劇場運営、宿泊運営、不動産開発、飲食やイベント運営などの施設運営を展開。2024年に転換社債を買い戻し、2024年までに約1000万株の自社株買いを実施。米国中心に展開。

事業内容

MARCUS CORPは映画館事業とホテル・リゾート事業を中核に、不動産投資や関連のサービスも手掛ける総合運営企業です。複数の劇場を直営し、宿泊施設の所有・運営・管理を通じて収益基盤を築いています。

同社の主要な顧客は映画鑑賞者や宿泊客、企業の会議主催者や広告主で、収益はチケットや飲食売上、客室収入、会議・宴会収入、広告・配給関連収入、そして管理手数料などで構成されています。事業は季節性の影響を受け、映画館は夏季、宿泊事業は夏季や年末が比較的強く、冬の第1四半期は一般に弱くなります。

事業は大きく劇場部門とホテル&リゾーツ部門に分かれ、劇場部門は複数スクリーンの運営や飲食サービス、特別上映や団体向けサービスを展開しています。ホテル部門はフルサービス型ホテルやリゾート、コンベンション対応施設の運営と第三者向けの運営受託を行い、不動産の取得・開発・保有も行うことで収益の多様化とリスク管理に努めています。

経営方針

同社は中長期的な成長を「選択的拡大と資産最適化」で実現することを目指しています。成長機会としては既存の劇場・回路の買収が中心で、過去にはMovie Tavernの資産(208スクリーン、22拠点、9州)を取得し、当時のスクリーン数を約23%上乗せしました。業界は上位3社で約50%のスクリーンを占める一方、残りは約800の小規模業者に分かれており、同社は地理的制約を設けず、適切な買収や既存リースの引継ぎ・運営受託を含めた機会を随時検討しています。財務面では既存資産の収益性評価や必要に応じた閉鎖判断を継続し、劇場部門の2025会計年度の設備投資を約2,000万~2,500万ドルと見込んでいます。

同社は体験価値と食関連事業への重点投資で差別化を図ることを目指しています。劇場ではプレミアム大画面(PLF)やDreamLoungerリクライナー席、Movie Tavernの館内ダイニングといった付加価値施設に投資し、PLFやピーク時は高めの価格設定を行う一方で「Value Tuesday」「Student Thursday」「Young‑at‑Heart」や高齢者・子供向けの$7デイなど需要喚起の価格プロモーションも運用しています。ホテル・リゾート部門ではMarcus Restaurant Groupのブランドを活用して宴会・グループ売上や館内飲食を伸ばす施策を取り、客室単価の最大化(RevPAR改善)とイベントスペースの稼働増を狙っています。

同社は新市場・新需要の開拓にも積極的に取り組んでいます。従来の映画上映に加え、メトロポリタン・オペラなどライブ配信やスポーツ、コンサートといった代替コンテンツの導入を進めており、例として多画面でスポーツを楽しむ「The Wall」や体感型の4DX、270度パノラマのScreenX導入を拡大する計画があります。非ピーク時間の集客を狙った特別編成やロビーでの収益化(体験型展示やゲーム等)も検討しており、運営受託での拡大や選別的な買収・合併による地域再編も視野に入れています。実際に2024年度にはミネソタやウィスコンシンで複数店舗を閉鎖し、財務的に維持が難しい資産の整理を行っています。

同社は技術革新を顧客理解と業務効率の両面で推進することを目指しています。回路内の全スクリーンでデジタル上映を実現しており(100%デジタル化)、会員プログラム(MMR)向けにMovioと提携して顧客データ分析を強化、個々の嗜好に合わせたターゲティングを進めています。モバイルアプリやウェブサイトでのチケット販売・飲食注文機能、チケット・注文キオスクやデジタルメニューボード導入などを通じて利便性と追加売上の向上を図り、同時にサイバーセキュリティにも注力しており、経営レベルのサイバー委員会や定期的な第三者評価、従業員向けの年次訓練で運用・監視体制を整えています。