Liberty Latin America Ltd.LILA

時価総額
$15.9億
PER
ケーブル・ブロードバンドとモバイル通信事業の大手。動画、ブロードバンド、固定回線と携帯のバンドルや海底ケーブル・基地局を展開。2024年9月3日にプレペイド事業と周波数を約2.56億ドルで買収、2023年11月に約1,300塔を売却。ラテンアメリカとカリブ海の22カ国で展開。

事業内容

Liberty Latin America Ltd.はラテンアメリカとカリブ海地域を中心に通信サービスを展開する会社です。同社は家庭向けの高速インターネット、ケーブルテレビ、固定電話に加え、携帯電話サービスや企業向けの通信ソリューションを主力に事業を行っています。

主要な顧客は家庭の世帯と中小〜大企業で、月額の加入料や契約に基づく継続収入が売上の大部分を占めています。同社は端末販売や工事費、卸売や国際ローミング収入に加え、通信塔のリース・売却など資産取引による収益も得ています。

事業は消費者向け(動画・インターネット・固定電話)、携帯サービス事業、企業向けサービス、そしてネットワーク資産の管理・運用に分かれています。同社は地域ごとに光ファイバーや海底ケーブル、基地局などのネットワーク基盤を保有し、サービスの組み合わせ販売やエリア拡大で顧客一人当たりの収益向上に注力しています。

経営方針

同社はブロードバンドとモバイル事業の有機的成長と選択的な買収の両輪で成長を図ることを目指しています。具体的には、既存顧客への映像・インターネット・固定電話・モバイルのセット販売やアップセルで「世帯あたり収益」の向上を狙い、ネットワークの拡張・品質改善を通じて加入者数の増加を追求しています。一方で財務面では過度なレバレッジを避けつつ株主還元にも配慮しており、2024年末時点で買戻しプログラムの残余枠が約2.42億ドルあることや、2024年の営業外要因を踏まえた資金管理を重視しています(2024年の純損失は約6.57億ドルである点は留意が必要です)。

同社はネットワークと周波数(スペクトル)への投資を差別化の中核に据えることを目指しています。過去の施策としては、プエルトリコ/米領ヴァージン諸島向けのプリペイド事業と周波数をエコースターから取得する契約(総額約2.56億ドル、初回支払95百万ドルを2024年に実施)や、パナマの事業買収(アメリカ・ムービル系の事業を約2億ドルの企業価値で取得)があります。また通信塔約1,300基の資産化・換金を通じて流動性を確保し、パートナーと共同でさらに500サイトを今後4年で構築する契約を交わすなど、インフラを活用した差別化と協業で競争優位を強めています。

同社は新市場や事業領域の拡大をM&Aと有償投資で進めることを目指しています。直近では前述のプエルトリコ案件に係る残額支払を2025年から2027年にかけて分割(各年の分割額の例として約7,200万、4,500万、4,000万ドルのスケジュール等が公表されています)で実行する計画があり、買収後は既存事業との統合でシナジー創出を図ります。加えて、塔の売却で得た資金をネットワーク拡張や顧客獲得施策に再投資する方針で、地域ごとの規制や為替の影響を見極めつつ、機会があれば追加の地域買収も検討しています。

同社は技術革新とガバナンス改善に注力することを目指しています。全社で基幹業務システム(ERP)の標準導入を進め、会計・運用プロセスの標準化と効率化を図るとともに、プログラム変更管理やアクセス管理などの一般的なIT統制を整備する計画です。サイバーセキュリティ面では米国の標準に準拠した枠組みで運用・報告体制を強化し、2024年は市場向けに請求システムの刷新や外部専門家による統制強化研修も実施しました。これらの取り組みを通じて、ネットワーク性能の向上だけでなく、財務報告や運用リスクの低減も同時に実現することを目指しています。