KORE Group Holdings, Inc.KORE

時価総額
$7154.7万
PER
IoT接続とソリューション事業の米国最大手。独自の接続プラットフォームやeSIM、クラウドコアを核に、収益の約79%が接続サービスを展開。2003年創業、2021年10月1日にNYSE上場、2023年6月にTwilioのIoT事業を買収。北米を中心にグローバルで展開。

事業内容

KORE Group Holdings, Inc.は、企業向けに端末のインターネット接続とそれに伴うIoTソリューションを一括で提供する会社です。同社は自社プラットフォーム「KORE One」を通じ、端末の接続管理や位置情報サービス、端末の運用支援などをワンストップで展開しています。

同社の収益は接続サービスの定期課金が中心で、2024年は約79%が接続関連の売上でした。顧客は医療、車両管理、資産監視、リテール通信、製造など幅広い産業の企業で、長期契約や端末ごとの料金を組み合わせて安定収入を確保しています。

事業は大きく接続サービスとIoTソリューションに分かれ、接続側では複数の通信事業者と連携したグローバル接続やeSIMによる遠隔プロファイル更新などを提供しています。ソリューション側では端末調達・設定・保守の代行やデータ解析などの運用サービスを行い、業界ごとの要件に合わせた組み合わせで顧客に導入支援を行っています。

経営方針

同社は成長の中心を「定常的な接続収益(Connectivity)」の拡大に置いており、2024年はIoT接続が売上の約79%を占めました。端末ごとのサブスクリプション収入(1台あたり月額、端末ライフサイクルは通常7〜10年)を軸に継続的な収益を確保するモデルを強化しています。短期的な流動性確保と財務健全化にも注力しており、2024年末の手元現金は約1,940万ドルですが、同時に優先株に関する未払い配当の累積(約2,380万ドル)などの負担も抱えているため、コスト削減や資本調達の両面で現実的な運営を目指しています。

同社が重点的に投資する分野はプラットフォーム、eSIM、そしてクラウド型のコアネットワークです。具体的にはマイクロサービス構造の「KORE One」プラットフォーム(7つのエンジン)や、1枚のSIMでグローバルかつローカル接続を可能にするeSIM(OmniSIM/SuperSim)、そしてクラウドネイティブな「HyperCore」により、通信事業者のネットワークを生かしつつ独自の付加価値を提供しています。差別化の源泉は多数のキャリア連携、業界別のノウハウ(例:Connected HealthでのFDA登録やISO認証・HIPAA対応)およびデバイスとサービスを一括で提供できる点で、これらを通じて継続課金とクロスセルを狙っています。

事業拡大の手段としては、従来どおりの買収による成長と、非中核事業の整理を組み合わせています。過去にはTwilioのIoT事業の一部を買収しており、今後も戦略的な企業買収や技術獲得の検討を継続するとしていますが、統合リスクや会計上の見直し(のれん減損の誤計算による四半期の訂正など)も認識しています。短期施策としては採算の悪いハードウェア売上を抑える決定やリストラ(2024年は給与・福利関連の整理を実施)、CEaaS事業の撤退予定(2025年末までに)などで収益性改善を図りつつ、チャネルや海外展開により新市場への浸透を進めています。

技術革新への取り組みは経営戦略の核であり、基幹システムの書き換えや新しいIoTソリューション設計、販売体制の強化などに「トランスフォーメーション費用」を投じています。セキュリティ面ではISO 27001に準拠した管理体制を敷き、最高執行責任者と専任のITセキュリティ責任者が運用を監督することで顧客データとネットワークの安全性を担保しています。これらの技術基盤と運用改善により、同社は顧客の拡大・契約継続率向上・ソリューションの差別化を実現し、長期的な成長を目指しています。