内田洋行JP:8057

時価総額
¥1052.4億
PER
46.1倍
教育・公共向けICTシステムとオフィス家具の大手。大学・小中高向けICT導入、教材・理化学機器の製造、空間デザイン・施工を展開。子会社28社、関連会社10社をもつ第15次中期経営計画で事業ポートフォリオを再編。国内中心に米国・東南アジアで展開。

事業内容

内田洋行はオフィス家具や学校向け教材、情報通信(ICT)システムの設計・導入から保守までを手掛ける総合ソリューション企業です。主力は教育機関や企業向けの家具・空間デザイン、教育機器の製造販売と、基幹システムやネットワーク機器の構築・ソフトウェアライセンス・保守などのICTサービスです。

同社の主要顧客は大学・小中高といった教育機関、官公庁・自治体、それに民間企業のオフィス部門で、公共案件と民間案件の両方で収益を得ています。売上は機器や家具の販売・設置工事の一次収入に加え、ソフトのライセンス販売や保守・運用といった継続的なサービス収入、研修や人材派遣、不動産賃貸などの補完的な収入で構成されています。

事業は「公共関連」「オフィス関連」「情報関連」の三つのセグメントに分かれ、公共関連は教育向けICTや教材・施設の設計施工、オフィス関連は家具の開発・製造・施工、情報関連は業務システムとネットワークの設計構築と保守を担っています。生産・施工・ソフト開発は複数の子会社や関連会社が担当し、同社は製品とスキルの軸および市場の軸で環境構築関連ビジネスとICT関連ビジネスを民間・公共の四つのマトリクスに分けて事業ポートフォリオの再編を進めています。

経営方針

同社は第17次中期経営計画(2025年7月期〜2027年7月期)に沿って、グループ全体のリソースを結集して機動的に成長することを目指しています。目標として自己資本当期純利益率(ROE)を安定的に10%以上とし、2015年から続けている改革の延長で、2025年にはグループ共通販売管理システムの最終統合段階に到達させる計画です。これらにより、従来の製品一次売上に加え、保守・運用やソフトライセンスといった継続収入の比率を高め、収益の安定化を図っています。

同社は「人」と「データ」への投資を重点分野とし、ここで差別化を図っています。具体的な施策としては、連結子会社のウチダエスコを完全子会社化したほか、ルクセンブルクのソフトウェア開発会社へ100%出資するなどソフト開発力の強化を進めています。また、グループ共通販売管理システムへの大型投資やシステムエンジニアの再編・強化を通じて、設計・導入から保守・運用まで一貫提供できる体制を整え、単なる家具や機器の納入だけでない総合ソリューションでの優位性を築いています。

同社は新市場開拓では公共市場の教育ICTと官公庁・自治体分野を深耕する計画です。GIGAスクール構想で得た実績を基に、学校向けの一括導入・運用サービスや自治体向けのシステム統合案件を拡大し、2026年7月期にはこれら公共分野を集約して重点市場の地盤を固める方針です。民間市場では大手企業のIT投資拡大に対して、グループ横断で事業ユニットを連携させて提案力を高めるとともに、海外では出資先を起点にソフトウェア受託や越境ビジネスの拡大を目指しています。

同社は技術革新について、デジタル技術を活用した業務変革を重要課題と位置づけています。データの生成・蓄積・分析を可能にするインフラ整備と、現場でそれを使いこなす人材育成を並行して進める方針で、グループ共通システムによる顧客情報の標準化や、エンジニアのスキル強化、研修・人事面の連携強化といった具体的施策を実行しています。これにより、受注から運用までの品質を上げ、保守・運用型の継続収入を拡大することで持続的な企業価値向上を図っています。