キングジムJP:7962

時価総額
¥264.3億
PER
23.6倍
文具事務用品とライフスタイル用品を手掛ける子会社12社の有力企業。電子製品・生活環境用品、オリジナル家具やアーティフィシャルフラワー等の企画・製造・販売を展開。インドネシア・ベトナム・マレーシアで生産、中国・東南アジアで販売拠点を展開。

事業内容

キングジムは、文具や事務用品、電子機器から家具・生活雑貨まで幅広い商品を企画・製造・販売する企業です。主力製品はファイルやとじ具などの事務用品に加え、家具やキッチン雑貨、時計、室内用フレグランスなどのライフスタイル商品です。

同社の顧客層は企業の事務部門や小売・流通業者、個人消費者まで幅広く、国内外の販売子会社や取引先を通じて販売しています。収益の中心は製品販売で、ファイル類などはインドネシアやベトナム、マレーシアの生産拠点で製造して供給しています。

事業は大きく「文具事務用品事業」と「ライフスタイル用品事業」に分かれており、それぞれに複数の製品ラインを持っています。文具事務用品事業はファイル・とじ具や電子製品を扱い、ライフスタイル用品事業はオリジナル家具の通信販売、キッチン雑貨、造花・インテリア雑貨、生活家電、室内用フレグランス、作業手袋などを展開しており、経営管理区分の見直しで一部子会社の区分を変更しています。

経営方針

同社は第11次中期経営計画(最終年度:2027年6月期)において、売上高520億円、経常利益28億円、経常利益率5.4%、自己資本当期純利益率(ROE)8.0%を目標としています。直近の決算では、計画比で売上がやや未達(計画410億円に対し396億3,950万円)だったものの、売上総利益率や販管費率の改善で経常利益は計画を上回る結果となり、デジタル化によるペーパーレス進行で縮むファイル市場への依存を減らすことが当面の重要課題になっています。同社はこれらの課題を踏まえ、収益構造の転換と持続的成長を両立させることを目指しています。

同社は重点投資分野として「デザイン力」「販売チャネルの最適化」「生産基盤の活用」に注力しています。差別化戦略として国内外のアーティストやデザイナーと連携するデザイン・ブランドコミッティを進め、見た目と使い勝手で競合と違う価値を出すことを狙います。また、営業と開発を統合した新部門(デマンドチェーンクリエーション部)を設け、販路ごとに最適化した商品開発と販路開拓を並行して行うことで、単なる製品供給から顧客密着型の提供へ転換しようとしています。生産面ではインドネシアやベトナム、マレーシアの拠点を「ファイル+ライフスタイル用品の工場」へと転換し、コストと供給の柔軟性を高めます。

同社は新市場開拓と事業拡大に向けて「サービス事業」「ライフスタイル分野の拡大」「海外事業の強化」の三本柱で取り組んでいます。サービス面ではデザインとデジタルを組み合わせたプラットフォームを構築し、陳列や表示に関するニーズをビジネスにつなげる新サービスを立ち上げる計画です。ライフスタイル分野はグループ内の成功事例共有やシナジー強化で成長を図り、必要に応じてM&Aでジャンルを拡大します。海外では市場ニーズに合わせた商品展開と販売チャネルの強化、戦略的M&Aを検討し、海外売上比率の向上を目指しています。

同社は技術革新の取り組みとして、デジタル技術やAIの活用を明確に打ち出しています。デザインとデジタルを結ぶプラットフォーム上でAIを用い顧客の利用実態や表示ニーズを分析し、新商品開発やサービス改善に結び付ける計画です。また、ECとソーシャルメディアを連動させたカスタマーエンゲージメント強化や、海外工場での生産効率向上、資源の有効活用といったサステナビリティ施策も技術的な改善と並行して推進しています。これらにより、同社は製品中心からサービス×デザインへとビジネスモデルを広げることを目指しています。