朝日インテックJP:7747

時価総額
¥7858.4億
PER
32.8倍
連結子会社18社で構成する医療機器と産業機器の開発・製造・販売の大手。低侵襲治療向けのガイドワイヤー・カテーテルを展開。パスウェイズ・メディカルの買収で技術獲得、2030年12月の南寧工場生産開始予定。米国、フランス、ドイツ、イタリアを中心に展開。

事業内容

朝日インテックは、医療機器や産業機器向けの製品を開発・製造・販売する研究開発型メーカーです。特に血管内治療向けの低侵襲治療製品(ガイドワイヤーやカテーテル類)を主力としています。

同社は病院や医療機関を主要顧客とし、国内では主に直接販売、海外では販売代理店経由が中心で、米国・フランス・ドイツ・イタリアなど主要国では現地拠点による直接販売も行っています。医療向け製品が収益の大半を占める一方、産業向け部材の供給でも売上を支えています。

同社の事業は大きくメディカル事業とデバイス事業の二本柱で構成しており、メディカル事業は循環器・末梢・腹部・脳血管領域の製品を扱い、デバイス事業は医療・産業向けの部材をメーカーに供給しています。伸線、ワイヤーフォーミング、コーティング、トルクといったコア技術を一貫生産に活かし、素材段階から完成品まで対応する体制で差別化を図っています。

経営方針

同社は「低侵襲治療」を中核に据え、グローバルニッチトップを目指す長期ビジョンを掲げています。具体的には2035年6月期に連結売上高3,000億円、営業利益率30%を達成することを目標とし、その前段階として2030年6月期に連結売上高1,800億円、営業利益率28%を目指す新中期計画「Building the Future 2030」を実行しています。さらに、2030年に自己資本利益率(ROE)および投下資本利益率(ROIC)ともに16%超を目途に、収益性と資本効率の向上を図る計画です。

重点投資分野では、循環器領域の強化を柱にするとともに、末梢血管・脳血管・腹部・消化器など非循環器領域への横展開を進めています。主力のPCI用ガイドワイヤーや貫通カテーテルなどでナンバーワンの地位を堅持しつつ、石灰化病変やCTO(慢性完全閉塞:長期間閉塞した血管の病変)といった治療が難しい領域向けの高付加価値デバイス開発に注力します。差別化の源泉は、伸線やワイヤー成形、表面加工といった素材から完成品までの一貫生産技術と、医師と直接連携する販売体制にあります。

新市場開拓と事業拡大では、既に製品を供給する121か国・地域での販売力強化を重視しています。国内では病院への直接販売を基盤にシェアと収益の拡大を図り、米国や欧州主要国では現地拠点による直接販売を強化して非循環器分野の市場獲得を狙います。中国や新興国では現地代理店との協力や物流プラットフォームの活用で需要取り込みを進め、同時にハノイ工場の増設など生産能力の拡充と拠点最適化で需給対応力を高める施策を実行しています。

技術革新への取り組みとしては、グローバルに分散した研究開発体制の強化を進めています。米国やタイの拠点で臨床現場の声を直接反映できる体制を整え、国内では瀬戸のR&Dセンターを中心に専門拠点を分散させてリスク管理と高度化を両立させています。高付加価値治療デバイスの開発に加え、必要に応じて外部からの新技術導入や買収・提携も検討し、製品群の拡充と生産性向上、さらには人材強化やデジタル化、サステナビリティ対応を通じて持続的な競争力の構築を進めています。