- 日本企業
- エコム
エコムJP:6225
事業内容
エコムは工業炉の設計・製造から導入後の点検や改修まで一貫して手がける熱技術の専門企業です。オーダーメイドの大型工業炉に加え、顧客と共同で行う加熱試験や省エネを目的とした加熱装置の開発を主力にしています。
同社の主要顧客は自動車メーカーやその部品メーカーで、特にエンジンやブレーキなど品質基準の高い部品向けの受注が多いです。収益は設備の受注販売が中心ですが、定期点検やIoTによる遠隔監視といったストック型サービスや部品販売が安定した収入源になっています。同社は全国で約500社、1,200設備以上の保守実績を持ち、保守事業が収益の安定に寄与しています。
事業は大きく産業システム事業と保守サービス事業に分かれています。産業システム事業では溶解炉や乾燥炉、硬化炉などの工業炉の設計・製造と顧客ワークを使った加熱テスト、さらに高効率バーナーや遠赤外線ヒーターなどの省エネ機器を扱っています。保守サービス事業では現地での改修工事、定期点検やIoT診断サービス「Miterune」による遠隔監視、消耗部品の販売を組み合わせて顧客の稼働維持と省エネ改修を支えています。
経営方針
エコムは産業システム事業と保守サービス事業の二本柱で成長を図っており、持続的な利益確保と収益の安定化を目指しています。設備の受注販売が主力である一方、定期点検や部品販売、遠隔監視によるストック型収入の比率を高めることで業績の変動を抑える戦略をとっています。現在は全国約500社、1,200台超の設備保守実績を有しており、これら既存顧客との関係を深めながら、長期契約やサービス収入の拡大によって安定成長を図る方針です。同社は経営指標として変動費率、売上高総利益率、売上高営業利益率を重視して経営の健全性を確保しています。
重点投資分野は加熱技術の高効率化とサービスのデジタル化です。同社は高効率バーナーや遠赤外線ヒーターなど省エネ機器の開発・販売に投資し、工場のエネルギー消費削減を支援することで差別化を図っています。また、他社製の加熱設備も点検できる技術力を持つ点を強みとし、顧客ニーズに合わせたオーダーメイド設計や現場での加熱試験(ヒートトライアル)を通じて付加価値を提供しています。人材育成ではOJTや現場研修を充実させ、技術者のスキル維持・強化にも投資しています。
海外展開や事業拡大については、まず既存の海外拠点を持つ顧客へのサービス展開を基盤にし、ネットワークと提携を通じて新規顧客を開拓する方針です。具体的には、ノリタケ株式会社との提携検討などパートナー経由での多国展開を進め、海外での保守・改修サービス提供体制を整備していきます。加えて、自動車分野以外の製造業でも設備更新や省エネ改修の需要が高まっているため、こうした分野への横展開を図りながら売上基盤の多様化を目指しています。同社は海外展開とサービスの多国展開により事業規模の拡大を目指しています。
技術革新への取り組みでは、電気自動車をはじめとする製造技術の変化に対応することを重視しています。顧客との共同試験であるヒートトライアルを活用してニーズを的確に把握し、省エネ化した加熱設備や排ガス規制対応の装置を開発することで「カーボンニュートラル」への対応を進めています。さらに、IoT(モノのインターネット)を用いた遠隔監視・予防保全サービス「Miterune」によって設備稼働の可視化とデータ分析を強化し、故障の未然防止と稼働率向上を狙っています。同社は技術投資とデータ活用を通じて、先進性と独自性を確保していくことを目指しています。