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エーワン精密JP:6156
事業内容
エーワン精密は工作機械で使う精密工具の製造・販売と再加工を主力に事業を展開しています。同社はコレットチャックやガイドブッシュの製作、切削工具の再研磨や別注工具の製作、さらにカムの設計・製造といった製品を手掛け、加工現場で使われる消耗部品を中心に提供しています。
主要顧客は自動旋盤やマシニングセンタを使う機械加工メーカーや部品メーカーで、工具の摩耗に伴うリピート注文が安定した収益源になっています。同社は受注生産で顧客の仕様に合わせて速やかに対応し、新規開拓と既存顧客の深掘りを通じて売上を伸ばしています。
事業は三つのセグメントに分かれており、コレットチャック部門は主に自動旋盤向けの把持具を設計・製作しています。切削工具部門は市販工具の再研磨と顧客仕様の別注工具を扱い、加工効率の改善に寄与しており、カム部門はカム式自動旋盤向けのカムを供給して長年の実績で需要に応えています。
経営方針
同社はニッチな精密工具市場に特化することで安定した収益と高い利益率を維持する成長を目指しています。具体的には、消耗品であるコレットチャックや切削工具のリピート受注を核に、受注生産の応答速度と納期遵守を高めることで既存顧客の深掘りを図り、着実な売上成長と株主還元の両立を狙っています。安定した財務基盤を活用して、機動的な設備投資と人材投資を継続し、長期的な生産効率の改善を進めることも明確な方針です。
重点投資分野として同社は高精度加工設備の導入、既存設備の定期メンテナンス、そして生産ラインの効率化に力を入れています。これにより多品種少量の受注に対応できる柔軟な生産体制を整備し、短納期対応や少量多品種の加工ノウハウを差別化要因にしています。合わせて作業標準の整備や熟練者の技能継承を進めることで品質の安定化を図り、大手が注力しないニッチ分野での優位性を維持しています。
新市場開拓と事業拡大では、より加工難度の高い精密部品分野や特殊仕様工具の需要取り込みを重視しています。同社は別注工具の設計・製作や再研磨サービスの拡充を通じて新規顧客を獲得し、既存顧客とは製品供給に加えて保守や再調整といった関係の深耕を進めています。さらに、市場ニーズに合わせた短納期対応や小ロットの安定供給を売りに、業界内での取引範囲拡大を図る計画です。
技術革新への取り組みとしては、加工精度向上のための測定・検査体制強化や加工条件の最適化、材料や表面処理の適用検討を進めています。加えて、現場の技能向上を目的とした教育プログラムの整備や設備と人の連携による生産性改善に投資し、製品の信頼性と競争力を同時に高めています。こうした技術と人材への継続的投資により、同社はニッチ市場での差別化を一層強めていく方針です。