ERIホールディングスJP:6083

時価総額
¥359.1億
PER
20.5倍
建築物の評価・検査・建設コンサルの大手。指定確認検査機関として建築確認・住宅性能評価・構造評定、BELS・CASBEE評価を展開。2013年12月2日に単独株式移転で設立、連結子会社16社体制。日本全国で展開。

事業内容

ERIホールディングスは2013年に設立された持株会社で、建築物の評価・格付け・検査を中核に事業を展開している。同社は建築確認や中間・完了検査、住宅性能評価、耐震診断や建築物のエネルギー性能判定など、設計段階から竣工・既存物件の点検まで第三者の専門サービスを提供している。

顧客層は自治体やデベロッパー、ゼネコン、ハウスメーカー、不動産事業者、金融機関、そして一般の住宅取得者まで幅広い。収益は検査・評価や技術審査の受託手数料やコンサル報酬が中心で、公共案件や保険・住宅ローン関連の継続的な業務が安定した収入源になっている。

事業は大きく「確認検査・関連事業」「住宅性能評価・関連事業」「ソリューション事業およびその他」に分かれており、複数の子会社が分担している。具体的には超高層建築物の構造評定や型式認定、エンジニアリングレポート作成、既存住宅のインスペクション、省エネ評価や技術講習など多様なサービスを組み合わせて提供している。

経営方針

同社は中期経営計画と2030年目標を掲げ、持続的な成長と安定収益の確保を目指しています。2026年5月期を初年度とする3か年計画では、計画最終年度(2028年5月期)に売上高280億円、経常利益40億円、経常利益率14.3%、ROE20〜30%を目標とし、配当方針として配当性向30%・年間100円/株の安定的な配当継続を掲げています。さらに中長期では2030年に売上高300億円、時価総額300億円を目指しており、収益性向上と株主還元の両立を重視しています。

重点投資分野は確認検査を軸とした既存中核事業の強化で、法改正(省エネ基準の義務化や4号特例の縮小)による業務量増加に対応するための態勢整備を進めています。具体的には技術者の採用・育成を強化し、申請・審査の処理能力を高めるほか、設計図書の電子化や建物情報を一元管理するBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を導入して図面審査やリモート検査を拡大します。これにより、第三者機関としての中立性を保ちながら迅速性と精度を両立する差別化を図っています。

事業拡大に関しては土木インフラや環境関連分野への進出を明確に打ち出しており、2026年度以降に予定される公共投資(同社が注視する公的投資規模は約20兆円超/5年間)を取り込む方針です。具体策としては、公益性を共有できる企業を対象としたM&Aで市場シェアを拡大し、グループ各社の事業統合や業務のトランスフォーメーションを通じて土木点検やインフラ診断、既存建物の省エネ評価など新領域のサービス提供を早期に軌道に乗せることを目指しています。

技術革新では、業界の人手不足に対応するためロボティクスや自動化技術の開発・導入を推進しています。具体的には現場の遠隔点検・撮影やセンサーによるデータ収集を組み合わせた自動診断の導入、BIMを中心としたデジタルワークフローの段階的拡大、そしてICTを活用した業務効率化を進めます。また多様な人材の活用や健康経営による人的資本投資にも注力し、技術力と組織力を両輪で高めることで、信頼性の高いサービス提供と持続可能な成長を実現しようとしています。