ABEJAJP:5574

時価総額
¥265.5億
PER
59.6倍
ミッションクリティカル業務向けAIプラットフォーム事業の有力企業。独自プラットフォームを核にHuman in the LoopとLLMを展開。特許(PCT/JP2018/3824)保有、2023年5月にLLMシリーズをリリース。国内中心に300社以上へ導入。

事業内容

ABEJAは、企業のミッションクリティカル業務にAIを導入するための基盤システム「ABEJA Platform」を開発・提供し、導入から運用まで一括で支援しています。生成AIや大規模言語モデルの機能を順次取り入れ、人とAIが協調して業務を回す仕組みを強みとしています。

同社は小売、製造、金融、医療、電力、不動産などの大手企業を主要顧客とし、導入支援では都度契約のコンサルティング型収入、運用段階では継続的なストック収入を得ています。既存のエンタープライズ顧客からの継続売上比率が高く、顧客深耕による安定収益を重視しています。

事業は、仕組みづくりと構築を担うトランスフォーメーション領域と、実際の運用を担うオペレーション領域に分かれています。ABEJA Platformは既製のモジュールで開発速度と品質を担保し、人が判断を補う「人とAIの協調(Human in the Loop)」やLLMの活用、現場で判断を実行するAIロボティクスなども進め、店舗向けの動線分析サービスなど業界別のソリューションも提供しています。

経営方針

同社は中長期的にデジタルトランスフォーメーション市場でのさらなる成長を目指しています。成長の中心には生成AIと大規模言語モデル(LLM)を置き、これを「成長ドライバー」と位置付ける一方で、AIロボティクスを次の柱に育成する方針です。経営の達成度は売上高、ABEJA Platformに関連する売上比率、継続顧客からの売上比率、営業利益といった客観的指標で評価し、これらの改善を通じて企業価値の最大化を図ることを目指しています。

同社は技術と実装ノウハウへの重点投資で差別化を図っています。特にコスト対精度を重視した大規模・中規模の基盤モデル構築に注力し(経済産業省の「GENIAC」採択などの実績があります)、ABEJA Platformのモジュール化と「人とAIの協調(Human in the Loop)」を組み合わせて上流の設計から下流の運用まで一気通貫で支援する体制を強みにしています。加えて、AIロボティクスの実装に向け、業界団体や国の研究プロジェクト(AIRoAを通じたNEDOプロジェクト等)にも参画しており、デジタルからリアルへの適用を進めています。

新市場開拓と事業拡大では、既存の小売・製造・金融・医療・電力・不動産といった大手企業顧客の深耕に加え、公的プロジェクトやエンタープライズ案件を並行して推進することで顧客基盤の拡大と安定したストック収入の拡大を目指しています。これに伴い、顧客ニーズに応じたABEJA Platformの機能追加や業界別ソリューションの提供を進め、必要に応じて戦略的なM&Aや多様な資金調達手段を用いて非連続的成長のための資金確保にも備えています。

技術革新への取り組みとしては、研究開発を中長期の競争力の源泉と位置付け、ロングコンテキスト対応基盤モデルや小型LLMの高精度化、AIエージェントやデータ連携、ガードレールやプライバシー保護といった周辺技術の実装を継続しています。具体的にはNEDO採択の研究(2025年7月採択、2026年2月まで実施予定)への参画や、情報管理体制の強化(プライバシーマーク取得、2025年のISMS認証取得)といった施策により、技術の社会実装とシステムの安定運用、人材確保を同時に進めることで競争優位を維持・強化していくことを目指しています。