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トーセJP:4728
事業内容
トーセは、ゲームソフトやモバイル向けコンテンツの企画・開発・運営を受託する事業を中核に持つ企業です。同社は家庭用ゲーム機、スマートフォン、アーケードなど幅広いプラットフォーム向けの開発と運営支援を請け負っています。
主要な顧客はゲームメーカーやパブリッシャー、プラットフォーム運営事業者で、受託開発や運営委託に伴う作業報酬が収益の中心です。同社は案件ごとの開発費や運営サポート料に加え、非ゲーム領域でのコンテンツ制作やソリューション提供でも収益を拡大しています。
事業は大きく「ゲーム事業」と「その他事業」に分かれており、ゲーム事業は国内本体に加え中国の現地子会社やフィリピン拠点での開発体制を持っています。その他事業ではデジタルコンテンツや企業向けソリューション、新規事業の創出に取り組み、株式会社フォネックス・コミュニケーションズが非ゲーム領域の事業展開を担っています。なお、フィリピン子会社は2024年8月に解散を決定し清算手続き中です。
経営方針
同社は「永遠に続く会社づくり」を掲げ、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益およびROEを重要な経営指標と位置づけて、収益性と資本効率の向上を目指しています。短期的には2026年8月期に向けて、これまで進めてきた複数の主要プロジェクトの終了と新規立ち上げが重なるため、開発人財の稼働率を2025年8月期末の空き状態から適正水準へと改善することを重要課題としています。同社は成長を持続するために、売上の安定化と利益率改善の両面で取り組みを進めています。
同社はゲーム事業では家庭用ゲーム機向けの高性能プラットフォームやリメイク案件を軸に差別化を図り、マルチプラットフォーム展開や既存タイトルのNintendo Switch 2対応など、クライアントから選ばれる開発パートナーを目指しています。スマートフォン向け新規開発は期初時点で計画しておらず、スマートフォン運営の縮小とレベニューシェア(開発したタイトルの販売に応じて分配される成功報酬であり、原価を伴わない収益)の減少を踏まえ、ゲーム事業は2026年8月期に営業減益を見込んでいます。こうした環境下でも、質・量ともにトップクラスの開発人材を強みに、高品質な開発力で競争力を維持しようとしています。
同社は非ゲーム領域での事業拡大にも力を入れており、教育関連やメンタル・ウェルビーイング分野、IPを活用したエンタテインメントサービスなどへ、デジタル開発技術を応用して新ビジネスを創出する方針です。2026年8月期は市場調査や研究開発に注力する投資フェーズとなり、その他事業では一時的に減収減益を想定していますが、株式会社フォネックス・コミュニケーションズなどを通じた企業向けソリューション提供やコンテンツ供給で中長期の収益拡大を図る計画です。
同社は技術革新に対してAIの活用や業務のデジタル化(DX)を推進し、開発技術の高度化と生産性向上を進めています。具体的には開発スタッフの研究機会拡充や社内展開の強化、キャリア採用と社内教育の充実により専門性と開発キャパシティを引き上げ、大規模で高難度の開発に対応できるチーム育成を目指しています。加えて長岡京の新オフィス整備や報酬・評価制度の見直しなど、職場環境改善を通じて従業員エンゲージメントを高める取り組みを進めています。