新日本科学JP:2395

時価総額
¥795.6億
PER
22.4倍
製薬企業からの非臨床試験や臨床試験を受託するCRO事業、経鼻投与技術を活用したTR事業、地熱発電や宿泊施設を運営するメディポリス事業。

事業内容

新日本科学は、複数の事業セグメントを持ち、さまざまな事業やサービスを展開しています。主な事業セグメントには、CRO事業、トランスレーショナルリサーチ(TR)事業、メディポリス事業、米国不動産事業、その他事業があります。

CRO事業では、製薬企業から非臨床試験や臨床試験、新薬承認申請業務を受託し、医薬品開発を支援しています。具体的には、安全性研究所や新日本科学イナリサーチセンターで非臨床試験を実施し、薬物代謝分析センターで試料分析を行っています。また、新日本科学PPDでは臨床開発を受託しています。

TR事業では、独自の経鼻投与基盤技術(SMART)を開発し、鼻粘膜からの全身吸収や脳への薬物送達に注力しています。これまでに、経鼻片頭痛治療薬を開発中のSatsuma Pharmaceuticalsやパーキンソン病治療薬を開発中のSNLDをスピンアウトさせています。

メディポリス事業では、鹿児島県指宿市のメディポリス指宿を活用し、地熱発電や宿泊施設の運営を行っています。ヒーリングリゾートホテル「別邸天降る丘」や「HOTELフリージア」を運営し、健康と自然をテーマにしたホスピタリティを提供しています。

米国不動産事業では、SNBL USA, Ltd.が保有する敷地内に建設した多目的産業用ビルを賃貸しています。その他事業としては、特例子会社「ふれあい・ささえあい株式会社」が、身体が不自由な方や精神発達に遅れがある方の就労支援を行っています。

経営方針

新日本科学は、医薬品開発の支援を通じて人類の苦痛を軽減することを使命としています。同社は、非臨床試験と臨床試験を網羅的に受託できる研究機関としての地位を確立し、最新の設備と技術を駆使して医薬品開発をサポートしています。科学技術の進展に伴う医薬品開発環境の変化に迅速に対応し、バイオベンチャーとの共存共栄を図るTR事業にも積極的に取り組んでいます。

新日本科学は、企業価値の向上を目指し、営業利益や経常利益の増大、利益率の改善を経営目標としています。資本収益性の指標としてROEとROICを重視し、資本コストを上回るROEとROICの維持・向上を図っています。2025年3月期のROEは13.3%、ROICは10.4%で、いずれも資本コストを上回っています。

同社は「2028Vision」を掲げ、2028年度の財務KPIとして売上高500億円、経常利益200億円、売上高経常利益率40%を目指しています。CRO事業が引き続き業績をけん引し、非臨床事業と臨床事業の2つの成長エンジンを基盤に、経鼻医薬品の開発を第3の成長エンジンとして注力しています。

医薬品業界では、CROへのアウトソーシングが活発化しており、新日本科学は実験用NHPの繁殖・供給体制を強化しています。新規創薬モダリティの研究開発が進む中、同社は非臨床試験のパッケージ提案を行い、グローバルで高い評価を得ています。

新日本科学は、CRO事業の強化を図り、ワクチンや感染症治療薬の開発に参画しています。MPSの受託サービスを開始し、DX推進による業務プロセスの改善を進めています。新社屋・研究棟の建設も完了し、実験用NHPのサプライチェーンマネジメントを強化しています。

TR事業では、経鼻投与基盤技術(SMART)を活用し、経鼻吸収による全身作用を企図した新規事業化を進めています。Satsuma社が開発した経鼻片頭痛薬「Atzumi™」はFDAの販売承認を取得し、上市を目指しています。経鼻ワクチンの研究も進め、早期の臨床試験入りを目指しています。

新日本科学は、SDGs/ESGへの取り組みを通じて非財務価値の向上を図っています。SDGs委員会を設置し、サステナビリティに関する重要案件を審議しています。持続的な企業価値の向上に向け、社会課題の解決と経営基盤の強化を目指しています。

同社は、優秀な人材の確保と育成を重視し、新卒採用を強化しています。社内教育機関「SNBLアカデミー」を中心に、職種や職位に応じた研修を実施しています。女性活躍にも注力し、管理職登用数の増加を目指しています。