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WOLVES HANDJP:194A
事業内容
WOLVES HANDは、動物病院とペットサロンの運営を主軸に、動物病院向け顧客管理ソフト「わん太郎」の提供、獣医師向け教育サイト・セミナーの配信、医療機器の製造・販売などを手がけています。同社は身近なケアからCTやMRIを用いる高度医療まで一貫して提供する医療ネットワークの構築を目指しています。
顧客は主にペットオーナーであり、ソフトや教育サービスは獣医師や動物病院が利用しています。同社の収益は動物病院事業が連結売上の80%超を占め、ペットサロンが約8〜10%、ソフトや教育は初期費用や月額のサブスクリプションで安定した収入源を持っています。医療機器事業は持分法適用関連会社を通じて業績に反映されます。
事業の内訳では、関西・関東・九州・沖縄の3エリアでセンター病院とサテライト病院をドミナント展開しており、合計38病院、獣医師111人、年間の診療件数は約39.5万件と一定の規模を確保しています。「わん太郎」は159院で導入され、教育サービスのVMNは有料会員が1,200名を超えるなど導入・利用が進んでいます。飛鳥メディカルは動物用レーザー機器を中心に製造・販売を担っています。
同社の強みは、センターとサテライトの連携で日常診療から高度医療までシームレスに提供できる点と、豊富な診療実績を活かした獣医師育成による人材確保です。高価な医療機器を効率よく稼働させることで収益性を高め、今後はネットワーク拡大やソフトのクラウド化でサービス範囲と収益基盤の強化を図る方針です。
経営方針
同社は持続的な規模拡大を通じて企業価値の向上を目指しています。現状はセンター病院とサテライト病院を合わせて38拠点、獣医師111名、年間診療件数約39.5万件、連結売上高約54.6億円(病院運営売上約47.6億円)というベースを有しており、これらの指標(獣医師数・診療件数)を主要なKPIとして段階的に増加させることで売上とキャッシュフローを拡大し、LBOやM&Aに伴う借入金の返済に備え内部留保の厚みをつくる計画です。獣医師1人当たり売上高は年間約4,301万円であり、これを維持・向上させることが財務健全化の重要な施策と位置づけられています。
同社は人材育成と設備投資を重点分野に据えて差別化を図っています。各病院に獣医師を平均約3名配置し、複数名体制で若手が相談できる仕組みを整えるほか、CTやMRI、放射線治療装置など高額医療機器への投資を進めることで一次診療から二次診療まで一貫提供する点を強みにしています。加えて、病院間で診療記録を共有し治療方針の標準化と品質向上を図ることで、単に設備を持つだけでなく運用面での優位性を追求しています。
同社は事業承継型のM&Aを成長の主軸としながら新市場開拓を進めています。後継者不足で廃業に向かう個人病院を対象に買収・統合することで既存エリア(関西・関東・九州・沖縄)でのドミナント化を強め、ネットワークを拡大していく方針です。また、顧客管理ソフト「わん太郎」は現在159院で導入されており、クラウド化を進めサブスクリプション収入の拡大や異業態(ペットサロンや医療機器販売)とのクロスセルを図ることで収益基盤の多様化を狙っています。獣医師向け教育サイトVMNは有料会員が1,200名超と着実に拡大しており、教育コンテンツの拡充で人材確保と収益化を両立させる計画です。
同社は技術革新により医療品質と運営効率を高めることを重視しています。社内のシステム管理室が中心となり「わん太郎」のクラウド化を推進するほか、臨床データを活用して診療方針の標準化や研修教材に反映させる取り組みを進めています。医療機器の製造・販売を担う関連会社を通じては、機器の稼働率向上やコスト低減に向けた改善を行い、機器投資の回収性を高めることで高付加価値医療の採算性を確保していく方針です。