デジタルグリッドJP:350A

時価総額
¥312.3億
PER
21.2倍
電力取引プラットフォーム事業の新興企業。AI予測を備えたDGPやRE Bridgeによる再エネマッチングプラットフォームを展開。2024年12月に系統用蓄電池の運用開始、2022年9月にGPAリリース。日本全国展開。

事業内容

デジタルグリッドは、発電事業者と電力を使う企業・団体が直接取引できる電力取引プラットフォーム「DGP」を中核に事業を展開しています。同社は取引に必要な契約や需給管理、価格発見やリスクヘッジの機能を備え、再エネの発電予測などを支えるAI機能を含む使いやすいシステムを自社開発で提供しています。

主要な顧客は発電家と需要家(企業や商社、従来の電力事業者を含む)で、収益は取引量に応じたプラットフォーム手数料が中心です。同社は市場変動リスクを負わず、発電コストや託送料金などの実費は需要家が負担する仕組みを採り、手数料は主に需要家から受領しています。

事業は大きく「電力PF事業(再エネ以外)」「再エネPF事業(再生可能エネルギー)」「その他」の三つに分かれます。電力PF事業では柔軟な契約設計と低廉な手数料を売りにし、再エネPF事業ではRE BridgeによるPPAのマッチングやFIT非化石証書の代理調達(エコのはし)、独自のバーチャルPPA(GPA)など多様な手法を提供しています。その他には系統用蓄電池の運用・アグリゲーションやオンラインの脱炭素教育サービス(GX navi)などの新規領域があります。

経営方針

同社は取引プラットフォーム「DGP」を軸に、取扱電力量と顧客基盤の拡大で成長を目指しています。直近では2024年7月期の売上高が約35億円、前年比売上高成長率は107%を達成し、営業利益率は44%まで改善しました。市場連動型の調達を受け入れる法人需要が拡大する環境を背景に、年間取扱電力量は約14億kWh、DGPの契約容量や契約拠点数も急増しており、同社はこの勢いを維持して売上高と営業利益のさらなる拡大を図ることを目指しています。

同社は重点投資分野としてプラットフォーム機能の深化と営業チャネルの拡充に注力しています。具体的には、取引画面や自動約定機能の改善、卸の調達先多様化によるヘッジ商品の拡充、代理店との共通営業ツールやオンボーディング標準化を進めており、現状で契約容量の7割超を占める市場調達型に対しヘッジ比率を高めることで継続率向上を狙っています。さらに、再生可能エネルギー取扱量は2025年1月時点で約210MWに達しており、長期のPPA(長期電力購入契約)や非化石証書の仲介を増やすことで差別化を図っています。

同社は新市場開拓として再エネ分野の垂直連携と系統関連サービスの拡大を計画しています。再エネのリード獲得からPPAのマッチング、契約後の需給管理までを「エコのはし」「RE Bridge」「DGP」でつなぐカスタマージャーニーを整備し、旧一般電気事業者向けの卸取引や中規模・大口需要家(高圧500kW以上)の獲得を強化します。加えて、蓄電池の運用やアグリゲーション事業を拡大し、将来想定される市場制度の変更にも迅速に対応することで、プラットフォームの提供領域を広げることを目指しています。

同社は技術革新を成長とリスク管理の中核と位置づけており、人工知能(AI)を活用した発電・需要予測の精度向上に継続的に投資しています。インバランス(計画と実績の差)によるコストを抑えるために予測アルゴリズムを改良し、自動約定やマーケットレポートによるコスト可視化で顧客の満足度を高めます。また、蓄電池の運用アルゴリズムや卸取引の自動化などを進め、現状の月次解約率(取扱電力量ベースで約1.9%、拠点数ベースで約1.7%)をさらに低減させることを目指しています。