SANKO MARKETING FOODSJP:2762

時価総額
¥39.6億
PER
392.3倍
居酒屋中心の飲食事業の有力企業。炭火串焼き・もつ煮込み・出汁おでんを中心とした大衆酒場や肉問屋直送の厚切り焼肉など多業態を展開。水産の6次産業化で産地直結のサプライチェーン構築を推進。首都圏を中心に出店、運営受託や物販サービスを含め業態数6で展開。

事業内容

SANKO MARKETING FOODSは、串焼きや煮込みが看板の大衆酒場「アカマル屋」や、肉問屋直送の厚切り肉を売りにする「焼肉万里」、沼津・浜松の鮮魚を取り入れた「金の蔵」などを中心に、首都圏で飲食店を展開しています。同社は飲食店の運営ノウハウを生かし、産地から提供までを一体化する「水産の6次産業化」も進めています。

主要な顧客は地元の一般消費者や家族連れ、若年層から高齢者まで幅広く、官公庁などの施設運営を受託することで法人需要も取り込んでいます。同社の収益は主に店舗での飲食売上が柱で、受託運営の手数料や水産事業による流通・販売収入がこれを補っています。

事業は業態別に分かれており、地域密着の居酒屋業態、手切りを重視する焼肉業態、手頃な価格帯で幅広い客層に応える業態が主力です。加えて、官公庁向けの運営受託、水産のサプライチェーン構築、物販や消毒・清掃などのサービス業態も手掛け、各分野で相互にシナジーを図っています。

経営方針

同社は「価値ある食文化の提案」を基本方針とし、飲食店舗の収益基盤再構築と水産の6次産業化モデルの両輪で持続的成長を目指しています。中期的な経営指標としては売上高営業利益率5%以上を目標としており、店舗事業の高効率化と水産サプライチェーンの確立により安定的な収益性の回復を図る方針です。

重点投資分野は水産領域と店舗の高収益モデルづくりで、同社は漁船を含む「SANKO船団」による朝獲れ直送、提携漁業者からの全量買取り(相場に左右されない固定価格での買い取り)、沼津の加工場での3D瞬間凍結機を含む最新加工設備導入といった具体策で差別化を図っています。流通面では水産仲卸のSANKO海商を子会社化(2021年11月)、豊洲の大卸である綜合食品を子会社化(2022年7月)するなど、産地から店舗までの多段階流通を短縮して付加価値を高めています。

新市場開拓と事業拡大では、地域に入り込んで地元漁師や自治体と連携した地域ビジネスを創出する方針を掲げ、鮮魚併設型の大衆酒場「アカマル屋鮮魚店」など新業態を展開しています。実際に業態変更や新規出店も進めており(例:2024年8月の業態変更、2024年9月の新宿三丁目テラス出店、2025年3〜4月の業態転換事例など)、出店は商圏と立地を見極めつつ積極的に進める一方で、大きな固定投資を伴わない受託事業やアジアでのライセンス展開については慎重に拡大を図る計画です。

技術革新と財務基盤強化にも取り組んでおり、加工技術の高度化と同時に業務プロセスやITシステムの見直しで人件費を含むコスト削減を進めています。財務面では2024年に新株予約権の行使で約3億1,000万円、無担保社債と新株予約権の発行・行使で約5億9,700万円を調達し(一部繰上償還で約1億8,000万円を償還済み)、運転資金や新規出店資金に充てることで安定した資金繰りと成長投資の両立を図り、同社は「産地活性化プラットフォーマー」を目指しています。