FALCONSTOR SOFTWARE INCFALC

時価総額
$1232.1万
PER
データ保護・ネットワークストレージソフトの有力企業。StorSafeやVTLの長期アーカイブ製品群を展開。Hale Capitalが50.6%保有、2021年6月に811,750株の公募実施。米国・欧州・アジア(日本含む)展開。

事業内容

FalconStor Software, Inc. は企業の重要データを保護・管理するソフトウェアを開発・販売しています。同社はStorSafeやVTLといった長期アーカイブと復旧に強い製品を主力に、既存のバックアップ環境と連携してデータの重複排除や移動性・整合性の向上を図っています。

主要な顧客は企業のIT部門やマネージドサービスプロバイダー(MSP)、大手システムインテグレーターやOEMパートナーで、販売の大半をチャネル経由で行っています。同社の収益はソフトウェアライセンス、保守やプロフェッショナルサービスに分かれ、従来の容量ベースの永久ライセンスから期間限定のサブスクリプション型へと比重を移しています。

事業は長期データ保持・復旧向けの製品群と導入・運用支援を行うプロフェッショナルサービスに大きく分かれます。同社の製品は複数のOS環境と連携する点を差別化要因とし、MSPや再販業者、OEM、ディストリビューター、直接販売を組み合わせて市場展開し、導入後のサポートで顧客の運用を支えています。

経営方針

同社は収益を再投資して成長を図る方針を取っており、普通株の現金配当は当面行わないと明言しています。近年の業績は厳しく、売上高は2022年に1,010万ドルと2021年の1,394万ドルから減少し、2022年末の現金は約200万ドル、運転資金不足は約30万ドル、株主資本はマイナス1,640万ドルという財務状況です。経営は売上の安定化と収益性回復を目指しており、追加の資金調達やコスト削減(人員削減や拠点閉鎖など)を組み合わせてキャッシュ消耗を抑える具体策を講じています。また、連邦の繰越欠損金は約8,460万ドルあり、将来の課税利益でこれを活用する意図もあります。

重点投資分野は長期データ保護とアーカイブの分野で、同社はStorSafeや仮想テープライブラリ(VTL)製品に注力しています。差別化策としては既存のバックアップ/アーカイブ環境を置き換えずに統合する点と、Windows、Linux、IBM i、IBM AIXなど複数のOS環境で動作する互換性を前面に打ち出すことを掲げています。さらに、従来の永続ライセンス(容量あたり)のモデルからテラバイト当たりのサブスクリプション/期間ライセンスへと販売形態を移行しており、同社は「今後数年でサブスクリプション収入が増える」と見込んでいることを具体的な重点施策としています。

新市場開拓や事業拡大では、既存のグローバル導入基盤とマネージドサービスプロバイダ(MSP)、クラウドサービスプロバイダ(CSP)、リセラー、OEM経路を活用して長期アーカイブ市場の認知度を高める計画です。プロフェッショナルサービス部門にストレージアーキテクトや技術サポートを配備し、導入前の評価から実装、運用支援までを提供することでチャネル経由の採用を促進しています。資金面では2021年に公開増資で合計約360万ドル(純額)を調達した実績があり、必要に応じて追加調達の可能性を排除していませんが、優先株や借入の条項が資本政策に制約を与えている点も留意しています。

技術革新への取り組みは、長期アーカイブの「可搬性」「安全性」「データの整合性検証」を向上させることに重点を置いています。同社はクラウド技術との統合に注力し、アーカイブデータの移動性やアクセス性を高める機能を開発しています。新バージョンの品質確保のために社内外でのテストを重ね、デプロイ後の問題発見に備えたサポート体制を強化することで、ミッションクリティカルなデータを扱う顧客の信頼維持を図る具体的な施策を実行しています。