Dole plcDOLE

時価総額
PER
生鮮果実・野菜の世界的最大手。バナナ・パイナップルなど主要果実と冷蔵海運・物流ネットワークを展開。21年7月の大規模買収とPale Fire Capitalが6,208,640株保有(25年2月6日)。北米・欧州・中南米・アジア・中東・アフリカで85カ国以上に展開。

事業内容

Dole plcは、世界的な生鮮果物・野菜の生産と流通を手掛ける企業で、バナナやパイナップルを主要商品とし、ぶどうやベリー、アボカドや有機作物など多品目を扱っています。 同社は生産(自社農場や契約農家)から収穫後の保鮮、梱包、輸送まで一貫した鮮度管理を行い、冷蔵コンテナや自社船隊を含む物流インフラを備えています。

同社の主要な顧客は大手小売チェーン、卸売業者、食品サービス業者、クラブストアなどで、北米・欧州・ラテンアメリカ・アジア・中東・アフリカを含む85か国以上に販売しています。 収益の中心は生鮮果物と多様化した青果の販売で、物流や付加価値商品が補完的な収入源になっており、特定の顧客に依存しない分散した売上構造を保っています(2024年は単一顧客が総売上の10%を超えていません)。

事業は大きく三つの報告区分に分かれ、Fresh Fruitは主にバナナ・パイナップル・プランテンをラテンアメリカなどの自社・賃借農地や地元生産者から調達して世界の主要市場に供給しています。 Diversified系の事業は地域ごとの市場対応と輸出主導の事業に分かれ、季節性に応じて現地調達とグローバルな仕入れを組み合わせて通年供給を実現し、倉庫・梱包施設・船舶・リーファーコンテナなどの資産で垂直統合を進めています。

経営方針

同社は持続的な売上拡大と市場シェアの強化を目指しています。実際、同社の売上は2006年の約20億ドルから2024年には約85億ドルへと成長しており、成長戦略は有機成長と企業買収の組み合わせに依拠しています。過去には100件以上の買収を実行しており、買収を通じて地理的なカバレッジや商品ラインを拡大することを明確な方針としています。買収だけでなく、既存事業の選別も行っており、2024年には「Progressive Produce」の売却で約7,590万ドルの売却益を計上するなど、ポートフォリオの最適化を進めています。

同社は生産と物流への重点投資で差別化を図ることを目指しています。バナナやパイナップルで世界有数の生産規模を持ち、ブドウやアボカド、ベリー類でも存在感を高めています。原料調達は100以上の国から行い、85か国以上に販売しているため季節変動に強い供給網を構築しています。さらに、自社保有の船舶や冷蔵コンテナなど物流資産に投資しており、冷蔵コンテナは約19,365台、所有船舶は計13隻(コンテナ船9隻+パレット型船4隻)などの設備を保有していることがコスト競争力と安定供給の源泉になっています。ブランド面では、2024年の消費者認知度が89%という高い水準を持ち、これが小売や外食向けでの交渉力につながっています。

同社は新市場開拓と事業拡大にあたって、買収と現地基盤強化を二本柱に据えています。買収は地理的拡大や商品ポートフォリオ強化の主要手段であり、同時に各地域での現地生産投資や栽培面積の改良で供給力を高めています。例えば、欧州や米国における流通インフラ整備や、南北半球を組み合わせた年間供給体制の構築により、通年で顧客への安定供給を目指しています。加えて、事業の選別により不要資産の売却や事業再編を行うことで資本効率を改善し、成長投資を賄う方針です。

同社は技術革新とデジタル化を通じて業務効率とリスク管理を強化することを目指しています。情報セキュリティのためのグローバル委員会を設置し、専任の責任者の下でロードマップや教育プログラムを運用しているほか、会計・内部管理面では手作業の仕訳レビューを自動化するなどの改善を進め、2023年末には主要な欠陥の是正を完了しました。農業面では栽培品種の改良や既存農地の改修投資を行い、品質と収量の向上を図っています。また、環境・社会・ガバナンス(ESG)目標にも取り組んでおり、今後さらに追加的な投資を行う意向ですが、その費用や時期は現時点で不確定であるとしています。