Dun & Bradstreet Holdings, Inc.DNB

時価総額
$40.8億
PER
商業与信判断と企業向けデータ分析の北米最大手。PaydexやData Cloud、ChatD&Bを用いた信用指標と解析サービスを展開。2019年2月の非公開化と2020年7月のIPO、2021年の買収を経て2024年12月時点で約21.5万社の顧客基盤。北米・欧州・中国・インド中心に展開。

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企業概況
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業績概況
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2社)
同業種の日本企業
3社)

事業内容

Dun & Bradstreet Holdings, Inc.は企業向けの商業データと分析を中核に事業を展開し、取引先の信用判断や与信管理を支援しています。同社は支払履歴を数値化したPaydexスコア(取引先の支払いの迅速さを示す指標)や、債権回収やサプライヤー分析に使えるデータと分析を提供しており、リスク低減と収益性向上につながる実務的な洞察を届けています。

同社の主要顧客は金融機関や大手企業で、Fortune 500の多くが同社のサービスを利用するなど大口企業が収益の柱になっています。収益は年間契約やサブスクリプション型で高い継続率(2024年で約96%)を誇り、安定したリカーリング収入が事業の強みです。

同社は大きくFinance & RiskとSales & Marketingの二つの分野で製品を揃え、中央のData Cloudを基盤に信用リスク評価、コンプライアンス、営業ターゲティング、顧客データのクレンジングやマスターデータ管理などを提供しています。中小企業向けのD‑U‑N‑S番号関連サービスやD&B Marketplace、生成AIを活用したChatD&Bなどの新技術も導入し、北米を中心に欧州や中国、インドなどの国際ネットワークを通じてグローバルに展開しています。

経営方針

同社は持続的な収益成長と高い収益の可視性を重視しています。実際に2024年の総収益は約23.82億米ドルで、年間の収益維持率は96%と高水準を維持しています。主要顧客の依存度は低く、上位50社で売上の約25%を占める一方で、単一顧客が占める比率は5%未満にとどまっており、こうした安定した収益基盤を背景にマルチイヤー契約へのシフトを進めて収入の予見性を高めることを目指しています。同社はまた、フリーキャッシュフローを重視し、事業投資とM&Aの両立を図る財務柔軟性を保持しています。

同社はデータと分析への投資を成長の中核と位置づけています。中核となる「Data Cloud」と、支払い実績を示すPaydexスコアなど独自データを基に、他社が模倣しにくい深い企業洞察を提供することを差別化戦略としています。具体的にはデータ品質向上、分析機能の強化、営業組織の技能向上(営業認定制度など)に資源を割き、2024年には設備投資(ソフトウェア開発含む)が売上の約9%に留まる一方で高い寄与マージンを実現しています。これにより既存顧客へのクロスセルやアップセルで収益拡大を図ることを目指しています。

同社は新市場の開拓と事業拡大を積極的に進めています。国際売上は2024年に約30%を占めており、同社はこの比率を引き上げるために現地化したソリューション展開とクロスセルの強化を図ることを目指しています。中小企業(SMB)向けは現在約77,000社の顧客基盤があり、D&B Marketplaceなどデジタルチャネルを通じてより多くの中小企業にリーチする計画です。加えて、Bisnode、NetWise、Eyeotaなど過去の買収事例に見られるように、必要に応じて小〜中規模の戦略的買収を選択的に行い、データ範囲や顧客基盤を広げて既存顧客への横展開を図ることを目指しています。

同社は技術革新を事業競争力の要と考え、生成AIや大規模言語モデルを製品に取り込む取り組みを進めています。代表例として情報検索や企業分析を即時に行えるAIアシスタント「ChatD&B™」を提供し、ESG評価やデータの照合・連携、営業支援といった領域でAI統合を進めています。マスターデータ管理(MDM)やAIを使ったデータ整備でモデル訓練に必要な高品質データを確保するとともに、社内でのAI活用を「クライアントゼロ」として実験的に導入し、運用効率化と責任あるAIガバナンスの両立を目指しています。