DONALDSON Co INCDCI

時価総額
$102.2億
PER
濾過製品・技術の創業100年超の大手。産業・車両向けフィルターやバイオプロセス機器を展開。2023年にUTECを€134.6百万で買収、2024年に自社株2.5百万株を$163.3百万で買戻し。北米44.1%・EMEA28.2%・APAC16.8%・LATAM10.9%で展開。

ランドスケープPowered by 会社四季報オンライン

企業概況
107文字)
業績概況
テーマ
1項目)
ブランド
1項目)
ライバル企業
1社)
同業種の日本企業
2社)

事業内容

DONALDSON COMPANY, INC.はろ過技術を軸に、空気や液体のフィルター、ろ過システム、排気・排出制御装置、さらにバイオプロセス用の装置や消耗品といった製品を設計・製造しています。長年の技術で産業向けから車両搭載品、ライフサイエンス向けまで幅広い用途をカバーしています。

同社は建設機械や採掘機、農業機械、トラックなどの機器を供給する機械メーカー(OEM)やディストリビューター、販売店、工場運営者、製薬・バイオ企業などを主要顧客とし、OEM向けの新規搭載品と交換用フィルターや保守サービスを通じて売上をあげています。事業別売上構成はモバイルソリューションが約62.8%、インダストリアルソリューションが約29.7%、ライフサイエンスが約7.5%で、地域的には米国・カナダの比率が高い点が特徴です。

事業はモバイル、インダストリアル、ライフサイエンスの三つのセグメントに分かれています。モバイルはオフロード・オンロード車両向けの空気・油液フィルターや排気関連製品とアフターマーケットを中心に、インダストリアルは工場用の集じん装置や圧縮空気の浄化、発電や航空宇宙向けの専門ろ過を扱い、ライフサイエンスはバイオプロセス機器や消耗品で高付加価値市場の拡大を図っています。

経営方針

同社は持続的な収益成長と株主還元を両立させることを目指しています。直近の通期では純利益が4億1,400万ドル、希薄化後1株当たり利益が3.38ドルと増益を達成しており、事業構成はモバイルソリューションが売上の約62.8%、インダストリアルが29.7%、ライフサイエンスが7.5%を占めています。資本配分では株主還元を重視し、2024年度は2.5百万株、約1億6,330万ドルを自社株買いに充て、年間配当は1株当たり1.02ドルと安定した配当を維持しています。

同社が重点的に投資する分野は、医薬・バイオ製造向けのライフサイエンス、代替動力源(電動化など)に対応する製品、そしてアフターマーケットを取り込む接続サービスとデジタル化です。これらの分野で差別化する手段として、幅広いフィルター製品群とグローバルなサービス網を組み合わせ、顧客の稼働監視やメンテナンスまで含めたソリューション提供を行っています。とくに膜クロマトグラフィーやバイオプロセス用装置など独自技術を取り込むことで、単なる部品供給から高付加価値の工程・装置提供へと移行しています。

新市場開拓や事業拡大では、ライフサイエンス分野での積極的なM&Aを軸にしています。過去数年でUTEC(買収対価約1億4,720万ドル相当の欧州案件)、Isolere(約6,240万ドル)、Purilogics(約1,990万ドル)、Solaris(約4,570万ドル相当)などを買収し、2024年8月にはイタリアのMedicaに対して49%の出資(約6,800万ドル相当)を実行しました。これによりバイオ製造や精製技術へのプレゼンスを急速に高め、未開拓の顧客層や高付加価値市場への浸透を図っています。

技術革新への取り組みでは、研究開発投資と買収による技術獲得を組み合わせて新製品とサービス化を推進しています。膜材料や精製プロセス、センサーやモニタリング技術の開発に注力し、データ連携による顧客向けのデジタル体験強化にも投資しています。同時に製造拠点の最適化や生産性改善にも取り組んでおり、欧州での生産合理化に伴うリストラクチャリング費用(約640万ドル)を計上するなどコスト構造の改善も進めています。