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COMMVAULT SYSTEMS INCCVLT
事業内容
Commvault Systems, Inc.は、企業のデータ保護とサイバー・レジリエンスに特化したソフトウェアとクラウドサービスを提供しています。主力はバックアップと復旧、ランサムウェア対策や迅速な復旧を支援するプラットフォームで、オンプレミスからハイブリッドやマルチクラウド環境まで対応しています。
同社の顧客は大企業から中小企業、政府機関まで幅広く、金融、医療、製造、公共機関など多様な業種を支えています。収益はサブスクリプションやSaaS、永久ライセンスの販売に加え、サポート契約や導入・コンサルティングなどのサービス収入が中心で、間接販売チャネル(リセラーやディストリビューター)を通す取引が多い点が特徴です。
事業面では、コアのクラウド/データ保護プラットフォームを軸に、バックアップ/リストア機能、サイバー復旧サービス、監視・運用を代行するマネージドサービス、導入支援や教育といったプロフェッショナルサービスを展開しています。さらにクラウド大手やセキュリティベンダーとの連携を強め、OEMやマーケットプレイス経由での提供も行い、製品の互換性と導入の幅を広げています。
経営方針
同社は売上成長と収益の質の向上を狙い、従来の永久ライセンスからサブスクリプション(期間ライセンス/SaaS)中心への転換を進めています。直近の通期(2025会計年度)売上高は約9.96億ドルで、買収を反映したプロフォーマでは約10.09億ドルに相当します。定期収入を増やして契約更新での継続的な収益を確保することを重視しており、繰延収益の増加やSaaS契約の前受け収益を成長の土台と位置づけています。株主還元面では2025年度に1.65億ドルの自社株買いを実施し、取締役会は買戻し枠を2.5億ドルまで拡大しており、安定した資本政策で株主価値の向上も目指しています。
重点投資分野は製品開発と顧客体験の強化にあります。研究開発費は2025年度で1.463億ドル、売上比で約15%を投じており、暗号化や高速な復旧、検索・監査機能、改ざん防止(イミュータブル)といった差別化要素の強化に充てています。加えてカスタマーサクセスの再編を完了し、導入前後の支援、リカバリーや教育、運用代行などのサービスを整備して「導入が成功すること」をビジネスの中核に据え、製品単体ではなく運用まで含めた価値提供で競合と差別化を図っています。
新市場開拓と事業拡大ではクラウドとマネージドサービスへの注力が鮮明です。2024–2025年度にクラウド系企業のAppranix(買収対価約2,627万ドル)とClumio(約4,431万ドル)の買収を行い、クラウドネイティブやクラウド運用の機能を取り込み既存製品群を拡張しました。ハイパースケーラーのマーケットプレイス販売やサービスプロバイダーとの連携を拡大し、チャネル面ではディストリビューター経由の販売が重要であり、Arrow経由の売上が約35%を占めるなどパートナー網を活用して地理的・業種別の拡大を図っています。一方で政府顧客は潜在的な需要があるものの予算変動や調達条件の厳格さといったリスクも併せて管理しています。
技術革新への取り組みは、特許の保護と品質向上、相互運用性の確保に重点を置いています。グローバルで1,500件超の特許ポートフォリオを持ち、主要OS・データベース・クラウドとの互換性や認証作業に多くの開発リソースを割いています。製品の品質確保のためにテスト自動化や品質保証ラボへ投資し、サイバーセキュリティやAIベンダーとの統合で検知から回復までを早める技術開発を進めています。研究開発投資は回収に時間がかかる側面を同社も認識していますが、長期視点でクラウド対応と復旧性能の向上に注力する方針です。