Compass, Inc.COMP

時価総額
$52.4億
PER
テック主導の不動産サービスの米国最大手。独自のクラウド型エンドツーエンド不動産プラットフォームとタイトル・エスクロー・モーゲージ統合サービスを展開。2025年1月にクリスティーズの独占運営権を取得で買収。米国35州とワシントンD.C.、世界50か国超で展開。

事業内容

Compass, Inc.はテクノロジーを軸にした不動産サービス企業で、取引額ベースで米国最大手の仲介ネットワークを運営しています。同社は住宅売買の仲介業務に加え、仲介担当者が使える独自のクラウド型プラットフォームを通じて業務を一元化するサービスを提供しています。

主要な顧客は直営に所属する独立した仲介エージェントと、フランチャイズやライセンスで提携する加盟店およびそのエージェントです。同社は主に住宅売買で発生する仲介手数料の取り分や取引ごとの固定手数料、加盟店からのロイヤリティやマーケティング・技術料、さらに権利関係や決済、住宅ローンなどの付帯サービスから収益を得ています。

事業は直営仲介、加盟店(Christie’s International Real Estateを含む)を通すアフィリエイト事業、そしてタイトル・エスクローやモーゲージを含む統合サービスに分かれます。同社の技術提供は顧客管理や取引管理、マーケティング支援、分析ダッシュボードなどでエージェントの生産性向上を図り、買収やサービス拡充を通じてこれらの事業を拡大しています。

経営方針

同社はまず既存のブローカレッジ事業の拡大と収益構成の転換を成長の柱に据えています。米国内ではコンパスが約33,000人のエージェントを擁し35州とワシントンDCで展開しており、直近では2024年にLatter & Blumなど複数のブローカーやタイトル会社を買収(対価は株式約2,610万ドル分と現金約2,130万ドル、追加の業績連動支払を含む)して市場シェアを拡大しました。さらに2025年1月にクリスティーズ・インターナショナル・リアルエステートの世界的フランチャイズ権を取得し、同社は収益に占める「アフィリエイト事業」と「統合サービス(タイトル/エスクロー/モーゲージ)」の割合を長期的に高めることを目指しています。成長の実行は買収による市場浸透と、キャッシュフローを重視した技術投資の両輪で進められます。

重点投資分野はテクノロジーと取引周辺サービスの強化です。同社はエージェント向けの独自プラットフォームを軸に、顧客管理(CRM)や案件管理(Business Tracker)、マーケティング支援などを統合しており、エージェントが顧客対応に集中できる仕組み作りを進めています。加えてタイトルやエスクロー、モーゲージといった決済関連サービスを自社グループで提供することで、取引の透明性とクロージング効率を高め、競合との差別化を図っています。人材確保・維持にも投資を続け、エージェントの定着率と生産性向上を通じた持続的な収益拡大を狙っています。

新市場開拓や事業拡大については国際展開とアフィリエイトモデルへの転換がカギです。クリスティーズ買収により同社は世界100以上の独立ブローカー網(50カ国超)と連携する道を開き、ロイヤリティやライセンス収入という新たな収入源を確立しようとしています。国内では統合サービスや所有ブローカレッジのさらなる地理的拡大、戦略的買収による市場補強を継続する方針で、買収時の業績連動条項や支払(開示上のコンティンジェント・コンサイダレーションは総額で数千万ドル規模)が示すようにM&Aも事業計画の重要な手段になっています。

技術革新への取り組みでは、同社はクラウドネイティブなプラットフォームとモバイルアプリを基盤に、人工知能や機械学習を用いた分析・推奨機能でエージェントの意思決定を支援しています。目標は紙中心の複雑な業務フローをデジタル化し、顧客体験と業務効率を同時に改善することです。またサイバーセキュリティに関しては専任のCISOが監督し、取締役会の監査委員会へ定期報告を行う体制を整備しています。技術投資は将来の差別化要因と位置づけられており、同社はイノベーションの拡大を「キャッシュフローの健全化」を重視しながら進めることを目指しています。