Concentrix CorpCNXC

時価総額
$21億
PER
カスタマーエクスペリエンス(CX)ソリューションの最大手。GenAI搭載のiXスイートやマルチチャネルCX、データ分析、BPOを展開。2023年9月のWebhelp買収(約38億ドル)で拡大。約45万人の従業員、75カ国485拠点で展開。

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企業概況
99文字)
業績概況
テーマ
ブランド
ライバル企業
3社)
同業種の日本企業
2社)

事業内容

Concentrix Corporation(以下、同社)は、企業の顧客体験(CX)を支援するグローバルなビジネスサービス企業です。同社は音声やチャット、メール、ソーシャルメディア、生成AIを活用したセルフサービスなど複数のチャネルを連携させ、顧客対応の設計から運用まで一貫して行っています。戦略的なUX設計とデジタル技術を組み合わせ、ブランド体験の一貫性向上を目指しています。

同社は約2,000社のクライアントにサービスを提供し、2024年時点で155社超のフォーチュン・グローバル500企業と取引しています。収益は長期契約やプロジェクト型の業務、技術導入に伴う継続的なサポートから生まれており、上位顧客との長期的な関係が安定した収入基盤になっています。

事業は大きく、CXとUXの戦略設計、デジタル運用(B2B営業、マーケティング、ロイヤルティ管理、債権回収や金融コンプライアンス等)、データ分析・インサイト、そして生成AIを含む先端技術ソリューションに分かれています。加えて業界特化の支援(金融、ヘルスケア、通信、リテール等)やバックオフィス業務も手掛け、世界各地の拠点と技術投資で顧客の業務効率化と収益拡大を支えています。

経営方針

同社は既存顧客との関係深化と隣接分野への拡大を軸に持続的な成長を目指しています。過去10年間で売上高は2014年の約11億ドルから2024年には約96億ドルへと拡大しており、FY2024は2,000社超の顧客を抱え、そのうち155社以上がフォーチュン・グローバル500に含まれています。収益の拡大は既存顧客へのクロスセル(追加サービス提案)やプレミアムサービスの提供で実現する戦略で、上位30社の平均取引年数は16年超と長期的な契約関係を重視しています。FY2025の設備投資は約2.3〜2.5億ドルを見込んでおり、資本の使途は成長支援と維持投資に振り分けられます。

同社は技術、人材、グローバルな提供力を重点投資分野と位置づけ、ここでの差別化を図っています。2024年11月時点で約45万人の従業員と世界485拠点、75か国での稼働により「一社でスケールと現地対応を両立する」体制を築いており、これが大手グローバル企業からの信頼につながっています。セキュリティや運用品質でもPCI、ISO27001、SOC2、HITRUSTなどの認証を取得し、データ保護を重視したサービス提供で競合と差別化しています。高付加価値のデジタル機能や業界固有のコンプライアンス対応を組み合わせることで、単なるコールセンター業務以上の価値を顧客に提供しています。

同社は買収と地理的拡大を成長エンジンの重要な一部としています。創業以来20社超の買収実績があり、2023年のWebhelp統合(総額約38億ドル規模の取引)で欧州・ラテンアメリカ・アフリカでのプレゼンスを大幅に強化しました。2022年のPK買収でデジタルITサービスの能力、ServiceSource買収でB2Bデジタル営業・カスタマーサクセス領域を補完するなど、戦略的買収を通じて隣接市場への展開を加速しています。また、新興市場(インド、ブラジル、エジプト、トルコ、中国、南アフリカ、ベトナム、インドネシア、タイ等)への配備を続け、コスト効率とタイムゾーン対応を両立させる計画です。資本政策では自社株買いの実行や設備投資による成長投資を両立させています(2024年11月時点で約3.46億ドルの買戻し実績、2025年1月に買戻し枠の増額決定)。

技術革新は同社戦略の中心で、実践的な投資と顧客向け導入で差別化を図っています。2024年9月に発表したiXスイートと、その中のGenAIを用いた仮想アシスタント「iX Hello」は、顧客向けの自動化・自己解決サービスを強化する具体例です。FY2024には売上高の約1%を技術投資に充て、GenAIのパイロットやiXの開発費を計上しましたが、同社はこの投資比率は時間とともに低減すると見込んでいます。自動化により単純作業を機械に移し、人は高度で複雑な顧客対応に専念させることで生産性と顧客満足の両立を図り、技術導入を通じて既存顧客との関係を深め追加収益を創出することを狙っています。