AMKOR TECHNOLOGY, INC.AMKR

時価総額
$100.7億
PER
半導体パッケージングとテストサービスの最大手。2.5DやWLFO、先進SiPや高電力モジュールを展開。2024年に米アリゾナ用地56エーカー取得、CHIPS法で最大$407百万の助成金獲得。中国・日本・韓国・台湾・マレーシア・フィリピン・ポルトガル・ベトナム・米国で展開。

事業内容

AMKOR TECHNOLOGY, INC.は半導体チップのパッケージングとテストを受託する企業で、完成した集積回路を基板や最終製品に組み込める形に仕上げるサービスを中心に展開しています。同社は設計支援から実装、動作検査まで一貫した工程を提供し、薄型化や高性能化に対応する先端パッケージ技術に強みを持っています。

顧客は世界の主要な半導体メーカーや大手電子機器メーカーが中心で、設計やウェハー製造を行う企業が後工程を委託する形で取引しています。同社の売上は大口顧客への依存が高く、2024年は上位10社で約72%を占め、製品別では先端パッケージが約82%を占める構成になっています。

事業は経営層が統括する単一の区分で運営しており、製品は大きく先端パッケージと従来型パッケージ・パワー製品に分かれています。同社はフリップチップやウェハーレベルの小型パッケージ(SiPや2.5D等を含む)、ワイヤーボンドを用いる主流製品、各種の最終試験サービスを提供し、アジアや欧米に分散した生産拠点を使って供給の安定化と顧客ニーズへの迅速な対応を図っています。

経営方針

同社は「収益を伴う売上成長」を主要な財務目標と掲げており、その実現に向けて先端パッケージング分野でのリーダーシップを活用しています。2024年の売上高は約63.2億ドルで、そのうち先端製品が約51.8億ドル(売上の81.9%)を占めており、高付加価値領域での成長を重視していることが数値にも表れています。配当政策も継続しており、2024年11月には四半期配当を1株当たり0.08269ドルに5%引き上げ、加えて特別配当約0.40546ドル(総額約1億ドル)を実施するなど、株主還元も戦略の一部としています。

同社は重点投資を生産拠点の多様化と先端技術の開発に置いており、設備投資を積極的に行っています。2024年の固定資産取得支出は約7.4億ドルにのぼり、韓国やベトナム、台湾、ポルトガルなどに広がる生産拠点を活用して顧客のサプライチェーン多様化要求に応えています。多数の顧客と長期的に協業することで、独自プロセスや検査技術を共同開発し、品質と量産性で差別化を図っています。一方で上位10社で売上の約72%を占める顧客集中があるため、複数拠点での量産資格取得や高い稼働率の維持を通じてリスク分散も進めています。

事業拡大に関しては海外・米国内の新規施設整備に注力しており、2024年にアリゾナ州で約56エーカーの土地を取得(時価約3,690万ドル、うち一部は助成金相当)し、2025年下半期に着工予定です。加えて、同年12月には米国のCHIPS法に基づく最大4.07億ドルの助成を受ける旨の決定を受けており(条件付きで支払は未実行)、これは米国内での生産能力強化に直接つながる計画です。2024年にはベトナム拠点から先端SiPやメモリパッケージの出荷を開始するなど、地域ごとの需要に合わせた展開を進めています。

技術革新では研究開発と顧客との協創を重視し、薄型化・高集積・高性能化を可能にするパッケージ技術に注力しています。具体的にはフリップチップやウェハレベルのファンアウト、シリコン・インターポーザを用いる2.5次元(TSVを含む)、WLFOや高密度ファンアウト、シリコンフォトニクスやコーパッケージ光学といった技術を開発・量産転換することを目指しています。これらは「より小さく、速く、低消費電力で複数チップを一つにまとめる」ことを可能にし、ハイパフォーマンスコンピューティング、自動車、IoT、モバイルといった成長市場での採用拡大を狙っています。