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Zai Lab LtdZLAB
事業内容
Zai Lab Ltdはグローバル志向のバイオ医薬品企業で、革新的な治療薬の発見、開発、商業化に注力しています。同社は自社の研究チームで創薬と橋渡し研究を進める一方、海外製薬企業とのライセンス契約で承認済み医薬品を中国圏に導入し、複数の承認製品を販売しています。
同社の主要な顧客は大病院や医薬品卸、保険を通じて医療を受ける患者層で、主に中国本土・香港・マカオで売上を上げています。収益は製品販売が中心で、製造コストやライセンス料、販売促進費、保険償還の動向によって変動します。
事業は大きく商用販売、研究開発、ライセンス・協業の三本柱で成り立っています。商用部門は営業、メディカル、マーケットアクセスなどの組織を整備して製品普及を図り、研究開発では自社パイプラインの拡充に投資しつつ、外部パートナーとの協働で製品群を補強しています。
経営方針
同社は売上の拡大と早期の黒字化を両立させることを成長戦略の中心に据えています。具体的には、2025年末までの収益性達成を目指しており、既存品と新規投入品の販売拡大で2025年の売上増加を見込んでいます。財務面では、2024年12月末時点で現金・短期投資等が約8.8億ドルあり、2024年の営業活動による純資金流出は約2.15億ドルだったため、短期的な運転資金は確保されています。一方で、中国での短期借入や回転枠の確保(例:2025年1月に約4,100万ドル相当のRMB300百万の与信枠)などにより資本柔軟性を高めています。
同社は研究開発と商業化の両面に重点投資を行い、がん、免疫、神経、感染症の領域を差別化軸にしています。内製の創薬・翻訳研究能力を強化し、自社の有望候補に注力する一方で、外部技術を取り込む協業も積極的に展開しています。たとえば、ADC(抗体薬物複合体)プラットフォームを持つ企業とのライセンスや、海外バイオとの地域独占ライセンス契約を通じて、独自性の高い抗体医薬やバイスペシフィック薬のパイプラインを拡充しています。これにより「中国市場での迅速な実装」と「グローバルで通用する候補の創出」を同時に進める差別化を図っています。
新市場開拓と事業拡大については、国内での製品アクセス拡大と地域展開を軸にしています。2024〜2025年にかけて中国本土で新たに皮下注製剤や抗生物質、がん薬などを相次いで発売し、AUGTYROの国家医療保険目録(NRDL)収載(2025年1月)などで公的保険下のアクセスを拡大しました。さらに、後期試験の完了や進行中の国際共同試験(例:胃がんの第III相試験など)の進捗を活用して、新適応や地域外展開の可能性を高める計画です。加えて、ライセンス・コラボレーションを通じた製品導入と自社販売力の両立で市場シェア拡大を目指しています。
技術革新への取り組みとしては、先端プラットフォームと内部創薬の両輪を掲げています。具体的には、DLL3標的のADC候補やIL-13/IL-31受容体を標的とするバイスペシフィック抗体などの先進的な候補が前臨床〜臨床で有望なデータを示しており、TMALINのような外部ADC技術の導入や社内による創薬パイプライン育成を組み合わせて開発速度を高めています。研究体制面ではグローバルR&D責任者の体制強化や免疫領域の専門人材登用などで開発力を底上げしており、同社は「差別化できる革新的薬を効率的に患者へ届ける」ことを目指しています。