- 米国企業
- Zoned Properties, Inc.
Zoned Properties, Inc.ZDPY
事業内容
Zoned Properties, Inc.は商業用不動産の取得・賃貸・運営と、不動産に関する助言・仲介・技術サービスを主力に事業を展開しています。同社は特に用途規制や開発制約の厳しい物件をターゲットにし、価値を高める解決策を見出して取得したうえで長期の完全ネット賃貸により安定した賃料収入を得ています。なお、同社は大麻そのものの栽培や販売、流通は行っていません。
主要な顧客は許認可を受けた規制産業の事業者で、とくに合法化された大麻関連事業者や同様に規制を受ける業態が多くを占めます。同社の収益は主に賃料収入と助言・仲介・技術サービスの手数料で構成されており、長期リースやサービス契約からの継続的な現金収入を重視しています。ただし、州や連邦の規制変更が事業や収益に影響を与えるリスクを伴います。
同社は事業を「Property Investment Portfolio」セグメント(物件の取得、賃貸、管理)と「Real Estate Services」セグメント(助言、仲介、データ・技術サービス)の二本柱で運営しています。州ごとの子会社や合弁会社を通じて現地対応を行い、外部パートナーやコントラクターに業務を委託することで管理コストを抑えつつ展開しています。
経営方針
同社は短期的に収益化できる物件の取得と、長期の絶対ネット(トリプルネット)賃貸契約を拡大することでポートフォリオを成長させることを目指しています。現在、アリゾナ(Tempe、Chino Valley、Kingman、Green Valley、Surpriseなど)、ミシガン(Pleasant Ridge、ZP RE MI Woodward)やイリノイ(Chicago、ZP Ashland)などで賃貸物件が稼働しており、これらの物件からの賃料収入を基盤として拡大を図っています。資本政策としては、株主承認の下で最大1,000,000ドルの自社株買い枠を設定しており(2024年は13,687株を約8,010ドルで取得)、発行済み普通株式は約12,087,861株、優先株は2,000,000株という資本構成になっています。
同社は規制の厳しい大麻関連施設向けに「ゾーニング済み/許認可が得られる物件」を選定することをコアの差別化要素としています。入居者候補には信用力・資本力・経営姿勢を重視したデューデリジェンスを行い、長期の絶対ネットリースで収益の安定化を図る点が特徴です。管理コストを抑えるために従業員は少数(2024年末で7名)にとどめ、外部パートナーや専門家ネットワークに業務をアウトソースすることで効率化を進めています。また、従業員・取締役のインセンティブ付与のため2016年株式報酬計画で最大1,000万株を留保しており、2024年末時点で約1,117,500件のストックオプションが未行使、826,250件が行使可能という仕組みで利害を一致させています。
新市場開拓は法人設立やジョイントベンチャーによる進出を通じて進められており、複数州に現地法人を設立してプロジェクト単位での買収・リース契約を実行しています。例えばミシガンの案件では物件取得に関するマスター契約やライセンスを伴う完全ネットリースを締結するなど、現地事業者との協業でポートフォリオを拡大しています。資金面では金融機関(例:East West Bank)とのローンや金利スワップ等を利用した調達実績があり、今後も買収と共同事業を主軸に市場拡大を進める計画です。
技術面では不動産関連のデータプラットフォーム開発や業界向けツールへの投資を進めていますが、代表例としてZoneomics Greenへの出資は一時的に価値を減損(2023年に45,000ドルの減損)しているものの、その技術を自社でリード獲得に活用するなど実務での導入を継続しています。ZP Dataプラットフォーム関連の投資(例:Anami Technologyの優先株を5万ドルで取得)も行っており、将来的にはデータと取引決済を結び付けることで仲介・アドバイザリー業務の付加価値を高めることを目指しています。ただし、同社自身も述べる通り、連邦レベルでの大麻関連の銀行取引や規制の不確実性は技術導入に影響するリスク要因として継続的に監視しています。