Yueda Digital HoldingYDKG

時価総額
PER
機内向けエンタメ・広告・接続サービスの有力企業。衛星と地上ビーコンによる機内接続と65%の国内劇場作品の独占著作権を活用したエンタメ配信を展開。暗号資産マイニングを2024年3月に売却後、2024年5月に再参入し69.56BTC採掘の実績。航空12社超と契約し中国中心にカザフで採掘事業展開。

事業内容

AIRNET TECHNOLOGY INC.は航空機内向けの通信・エンターテインメントと広告を中核に事業を展開する企業です。同社は衛星や地上の中継を活用して機内インターネット接続を提供し、映画や番組などの機内コンテンツ配信とその枠での広告配信を行っています。

主要な顧客は中国の航空会社と広告主、広告代理店で、収益は主に機内の広告時間枠やコンテンツ配信契約から得ています。同社は使用権契約の前払い費用や代理店手数料など固定費が大きく、少数の大口広告主への依存が高いため、収益が期ごとに変動しやすい構造です。

事業は大きく機内接続、機内エンタメ・コンテンツ配信、広告販売の三領域に分かれており、一部は契約による関連会社を通じて運営しています。同社は近年暗号資産のマイニング事業にも再参入しており、海外のホスティング拠点でビットコイン採掘を行うなど新規事業も並行して推進しています。

経営方針

同社は成長の軸を「機内メディアと接続サービスの強化」と「暗号資産(ビットコイン)マイニング事業の再構築」に置いています。機内向けではコンテンツ提供と接続サービスの組合せで収益拡大を図っており、既に中国移動大手との協業や中国東方航空メディアなどとの連携を通じ、国内12社超の航空会社向けにサービスを提供しています。コンテンツ面では、劇場公開済み作品の約65%に相当する独占的な権利や900本超のアーカイブ、数千時間分の番組を保有しており、これを基盤に広告収入やアプリ連携での収益化を目指しています。一方でコスト構造としてはコンセッション料(広告時間帯確保のための前払費用)が大きく、収益の変動要因となるため、同社は広告主の獲得・回収の安定化を重視しています。

重点投資分野として同社はコンテンツ権利の拡充、機内でのインターネット接続ネットワーク整備、並びにマイニングのインフラ整備を挙げています。差別化戦略は「接続+独自コンテンツ+航空会社との深い協業」によるワンストップ提供で、これにより広告主に対して航空旅客という限定かつ高付加価値な視聴者層を訴求します。広告依存のリスクに対応するため、同社は代理店関係の安定化や販売チャネルの多様化を図る計画を掲げていますが、過去には上位顧客3社がそれぞれ年度売上の10%超を占める状況が続いている点は留意点です。

新市場・事業拡大の計画としては、暗号資産マイニングにおける海外施設展開が目立ちます。すでにカザフスタンのホスティング業者との契約やデポジット1.5百万ドルの支払い、電力費用はkWh当たり0.07米ドル+保守料0.002米ドルという条件の下で稼働し、これまでに合計69.56BTCを採掘しています。さらに70MW(系統電源)と60MW(ガス自家発電)の大型施設建設に関する意向表明(LOI)を結んでおり、同社は取締役会の満足する法務・事業のデューデリジェンスを経て確定契約へ進める方針です。上場維持に向けてはナスダックの最小株価基準回復(猶予は2025年9月15日まで)など短期課題にも対応しています。

技術革新と内部管理面では、同社は自前の研究開発投資を大幅には増やさない方針を示す一方で、パートナーが保有する次世代衛星通信機器や液冷技術など既存技術の活用で効率改善を図っています。実務上は研究開発費が2022年・2023年で各3.5万ドル、2024年はゼロという実績があり、今後は外部の技術・インフラ投資や共同開発を通じて競争力を確保する計画です。また財務報告とガバナンス強化にも注力しており、米国会計基準対応の外部コンサル(AICPA有資格者)を起用、社内研修の実施や社内弁護士による内部統制監督の強化など具体的な是正措置を進めています。