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Xylem Inc.XYL
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事業内容
Xylem Inc.は世界的な水関連技術会社で、水の供給・処理・移送・排水に関わる機器やソリューションを設計、製造、保守しています。主力はポンプや水処理装置、配管の状態診断や漏水検知装置、工事や緊急時向けのレンタル機材といった実務向けの製品とサービスです。
同社の顧客は上下水道を運営する自治体や設計・施工業者に加え、ライフサイエンス、半導体、食品・飲料、化学、発電所などの産業分野に広がっています。収益は機器販売だけでなく、据付後の運転・保守契約、機材賃貸、処理業務のアウトソーシングやデジタルサービスなどの定期的なサービス収入からも成り立っています。
同社は事業を機器販売中心のインフラ事業と現場サービスを含むソリューション事業で展開しており、脱水ポンプやバイパスポンプ、プロセス水処理、においや腐食対策といった製品ラインを揃えています。近年は水処理や水道のデジタル管理を強化する買収を進め、世界各地の製造拠点と広いサービス網、レンタル資産を活用して老朽インフラ更新や水不足・規制対応、緊急対応の需要に応えています。
経営方針
同社は成長を「収益の質と持続可能な利益率の向上」で実現することを目指しています。2024年の売上高は約85.6億ドルで、同社は2025年に総売上高で最大2%の成長、オーガニック成長で3〜4%を見込んでいます。足元の受注残は約50.7億ドルで、そのうち約半分が2025年に売上計上される見込みです。一方で構造改革も並行しており、2025年における再編・配置転換費用はおおむね9500万〜1億1500万ドルの見込みで、年度内に7500万〜9500万ドルのコスト削減を実現する計画です。
同社は重点投資分野を「サービス収益の拡大」「高付加価値機器と制御・計測」「現場ソリューション(レンタルやメンテナンス)」に置き、これらで差別化を図ることを目指しています。具体的には、サービス拠点とレンタル資産を世界に拡充して循環的・継続的な収益を増やすほか、製品の性能・省エネ性・ライフサイクルコストで競合優位を作ろうとしています。設備投資は2024年に約3.21億ドル、研究開発費は同年で約2.30億ドルを計上しており、これらの投資で製品とサービスの付加価値向上を狙っています。
新市場開拓と事業拡大は買収・再編を通じて進められています。2023年のEvoqua買収では総対価約69億ドルを投じて水処理分野を大幅に強化し、デジタル分野ではIdricaへの持分拡大でデジタル水管理を取り込むために約6.37億ドルを投じて過半数を取得しました。加えてスイスのHeusser買収(約4,000万ドル)や不要事業の売却(例:Magnetoの売却で6100万ドル)など、ポートフォリオの最適化を通じて成長分野に資源を集中させる方針です。地理的には米国が売上の過半を占めますが、新興市場や欧州でも成長余地を狙っています。
技術革新では、同社は製品開発とソフトウエア・デジタル化に注力することで競争力を高めることを目指しています。研究開発はグローバルな技術センターや試験・パイロット設備を活用して進められており、2024年のR&D支出は約2.30億ドル、ソフトウエア開発も資本化しています。加えてIoTや遠隔監視、解析サービスといったデジタルソリューションの拡充、外部の技術パートナーとの連携やデータサイエンス人材の採用により、顧客の運用効率・水の安全性向上を図る取り組みを強化しています(ただし、これらのデジタル化にはサイバーセキュリティ対応などの課題もあると同社は認識しています)。