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UNITED STATES STEEL CORPX
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事業内容
UNITED STATES STEEL CORPは米国と中欧で鉄鋼の製造・販売を行う大手企業で、平板製品や塗装・めっき鋼板、鋼管など幅広い鋼材を生産しています。原料の採掘から加工、仕上げまで一貫生産の体制を持ち、建設や自動車、包装、エネルギーといった用途向けに出荷しています。
同社の主要顧客は自動車メーカーや建設会社、板金流通業者、包装材メーカー、石油・ガス関連企業などで、完成品メーカーへの直販とサービスセンターや商社を通した販売の双方で収益を上げています。売上は特に平板系製品と鋼管製品が中心で、大口顧客向けの取引が業績に与える影響も大きいです。
事業は大きく平板(フラットロール)部門、ミニミル(小型電炉)部門、チューブ(鋼管)部門、欧州事業や原料部門に分かれています。近年は低コストの原料やミニミル・仕上げ工程への投資を進め、リサイクル比率の高い低炭素鋼や高付加価値製品の開発で収益性と環境対応の両立を図っています。
経営方針
同社は「Best for All®」戦略を掲げ、収益力の強化、長期的なキャッシュ創出、そしてコスト・資本・炭素強度の低減を目指しています。具体的には電気アーク炉(EAF)を中心としたミニミル能力の拡大や、付加価値の高い仕上げ加工能力の強化を通じて、景気変動に強い収益構造を作ることを狙っています。2024年の連結売上高は約156億ドルで、原料から製品まで含めた年次粗鋼生産能力は合計で約2,540万トン(北米20.4百万トン、欧州5.0百万トン)といった規模感で事業を展開しています。
同社は差別化の源泉として低コストの鉄鉱石供給、ミニミル鋼生産、仕上げ加工の三点に重点投資しています。実際の施策としては、Gary Worksにおけるピッグアイアン(溶鋼原料)キャスター稼働(2022年第4四半期)、ミネソタKeetacでの直接還元(DR)グレードのペレット化能力完成(2023年12月)、アーカンソー州オセオラの第2ミニミルが2024年10月に初コイルを生産したこと、そしてBig River Steelでの電磁鋼板ラインや亜鉛めっきラインの投資などが挙げられます。これらにより、自動車や家電、電機向けの高付加価値鋼材や低炭素鋼の提供を強化しています。
新市場開拓や事業拡大では、同社は「より良く、より大きくではない」方針のもとでミニミル中心のフットプリント再編を進め、GEN3世代の高張力鋼(AHSS)や再資源化率の高い低炭素鋼などの商業化を五年計画で推進しています。具体例として、verdeXという製品ラインは最大で90%の再生鉄鋼比率をもち、従来の統合製鋼よりも約70〜80%低い二酸化炭素排出量を実現する製品として打ち出しています。また、資本配分の選択肢として提携・買収も含めた戦略的検討を行っており、提案された買収条件(1株55ドル)などの外部オプションも事業戦略の一部として扱われています(ただし規制や手続き上の不確実性は存在します)。
技術革新については、同社は研究・開発と設備革新を基盤に置いており、米国の複数拠点(ペンシルベニア、ミシガン、テキサス)やスロバキアの拠点で材料開発や工程改良を進めています。ピッグアイアンの生産やDRペレットの導入は、鉄鉱石優位性をEAFプロセスに生かす技術的な取り組みであり、仕上げラインへの投資は顧客の要求に応えるための製品差別化に直結します。商業化リスクや市場需要の変化は認識しているものの、同社は実証設備の稼働と顧客連携を通じて新技術・新製品の市場導入を加速させる方針です。