WEYERHAEUSER COWY

時価総額
$155億
PER
森林資源と木材製造の北米最大手で米国で1040万エーカー、カナダで1410万エーカーを管理。構造用製材、OSB、エンジニアードウッドなどを展開。24年7月にアラバマで8.4万エーカーを2.44億ドルで取得。米国・カナダ中心に展開。

事業内容

WEYERHAEUSER COは北米有数の私有林所有者で、広大な森林を育てて木材を生産するとともに製材や板材などの木材製品を製造・販売しています。同社は苗木の植林から育林、伐採、丸太の出荷まで一貫して行うほか、土地の売却や賃貸を通じて所有地の価値を引き出しています。

主要な顧客は住宅や集合住宅の建設業者、製材所やパルプ・ペレット等の加工業者、流通業者および輸出先の市場で、国内外に幅広く販売しています。同社の収益は大きく三つの柱に分かれ、木材製品の製造販売が最大の収入源であり、次いで保有林からの丸太販売や賃貸収入、土地売却や鉱物・エネルギー権のロイヤルティなどが続きます。

事業は主にTimberlands、Real Estate & ENR、Wood Productsの三つのセグメントで構成されています。Timberlandsでは持続的な森林管理の下で植林・育林・伐採や丸太販売、レクリエーション賃貸を行い、Real Estate & ENRは土地の高付加価値化や再生可能エネルギー用地、鉱物権・炭素クレジットなどの活用を進めています。Wood Productsは自社工場と流通網を通じて構造用材、パネル材、集成材やI字梁、合板・繊維板などを供給しています。

経営方針

同社は長期的な成長と株主還元の両立を目指しています。2024年の連結売上高は71.24億ドルで、そのうち木材関連の事業が主力を占める一方、不動産・エネルギー・天然資源(Real Estate & ENR)部門の売上も3.91億ドルと着実に拡大しています。経営戦略の中心はキャッシュフローの最適化とコスト削減を通じた収益性向上で、営業効率の改善や高付加価値製品へのシフトにより調達から販売までの収益性を高め、四半期配当や自社株買いを含む「調整後分配可能資金(AFFD)」を軸としたキャッシュリターン方針を重視しています(配当水準は状況に応じて変動する可能性があります)。

重点投資分野として同社は自己保有や管理する森林資産の生産性向上と加工製品の高付加価値化に注力しています。北米で管理する森林は合計約1,040万エーカー(うち自社保有9.8百万エーカー)に及び、集中的な育林や施業(シルビカルチャー)投資で立木の成長を高めるとともに、木材から工程の効率化や製品ミックスの改善で差別化を図っています。2024年にはアラバマ州で計84千エーカーを合計2.44億ドルで取得するなど、原料安定供給と土地ポートフォリオの最適化に向けた大規模投資を実行しています。また、SFIなどの持続可能な林業認証を強みに、安定供給と環境責任を両立することが競争上の差別化要素です。

事業拡大では既存資産の価値最大化と新市場参入を並行して進めています。具体的には、高付加価値の不動産化や再生可能エネルギー用地の地上権・地役権貸与、地中の二酸化炭素貯留に関する地下権利の賃貸などを通じて、土地の表層・地下双方からの収益化を図っています。2021年に立ち上げた「ナチュラル・クライメート・ソリューション」事業では森林炭素クレジットや炭素貯留の市場参入を推進しており、不動産部門のVO(Asset Value Optimization)プロセスで高付加価値売却を段階的に実現しています。買収や資産入れ替えは状況に応じて実行する方針で、資金調達は営業キャッシュ、借入、資産売却の組合せで賄う計画です。

技術革新への取り組みとしては、土地の価値評価や収益機会の発見に衛星データや地理情報システムを活用するなどデジタル化を進め、AVOプロセスの精度向上に取り組んでいます。製造面では、TimberStrand®の新工場建設など製品や工程への資本投下を通じて高マージン製品への比重を高める方針で、サプライチェーンの効率化や保全的な育林技術への投資も継続しています。加えてサイバーセキュリティや内部統制の強化を図り、業務継続性と情報保護を高めることでも事業競争力の維持・向上を図っています。