WVS FINANCIAL CORPWVFC

時価総額
$2394.5万
PER
預金・貸出を中心とする地域金融サービスの有力企業。個人向け貯蓄、住宅ローンと投資有価証券の運用を展開。2020年3月の自社株買い計画と2021年5月の1万8576株買戻し。ペンシルベニア州ピッツバーグ北郊の6拠点展開。

事業内容

WVS Financial Corp.はペンシルベニア州に本拠を置く持株会社で、子会社の貯蓄銀行を通じて北ピッツバーグ郊外を中心に地域密着の銀行業を営んでいます。同社は預金商品と各種貸出を主力とし、店舗を通じた対面サービスを軸に地域の個人や事業者に金融サービスを提供しています。

主要な顧客は地元の個人預金者と小規模事業者で、収益の中心は貸出や投資有価証券からの利息による利ざやです。同社はまた口座手数料やローン関連手数料といった非金利収入を得ており、資金調達は主に店舗で集めた預金と金融機関からの短期借入で賄っています。

事業は大きく預金業務、貸出業務、投資業務の三本柱で構成されており、貸出では住宅ローンが重要な比重を占めています。同社は民間発行の住宅ローン担保証券や社債などの投資ポートフォリオも保有しており、これらの価格変動や借り手の延滞、サービス業者の履行状況が業績や資本に影響を与えるリスクを管理しています。

経営方針

同社は地域密着型の中小銀行ホールディングカンパニーとして、預金を主力の成長資金源としつつ、利息収益資産の拡大と金利感応ギャップの管理を成長戦略の中心に据えています。具体的には、支店網(ピッツバーグ北部の6拠点)を基盤に「最低残高不要の無料当座預金」やインターネット/モバイル行内サービスを通じてコア預金を獲得する方針です。資本政策面では自社株買いを継続しており、2020年3月に再開した第12回買戻しプログラム(上限100,000株)で、2021年5月に18,576株を平均15.76ドルで買い付け、2021年6月30日時点で68,729株を残しています(発行済株式数は2021年9月3日時点で1,884,114株)。

同社は投資ポートフォリオの質を重視して差別化を図っています。2021年6月30日時点で売買可能(AFS)投資有価証券の簿価は約1.51億ドルで、その内訳は社債が約1.095億ドル、外貨建て社債が約3,744万ドル、政府系債が約321.5万ドル等です。保有する社債は格付けのある投資適格銘柄が中心で、AT&TやAmerican Express、Verizonなど大手発行体の債券を組み入れています。一方で、レガシーの住宅ローン担保証券(パススルー型、PLMBS)については遅延が継続し、同日付で3件をその他の一時的でない減損(OTT I)と判断しており、債券の流動性やサービス業者の履行リスク管理を強化することが差別化上の課題となっています。

新規市場開拓と事業拡大は慎重な「既存市場の深耕」を基本としています。同社はピッツバーグ北部の店舗網を基に住宅ローンや中小向け貸出、手数料性商品で顧客接点を増やす計画を掲げており、資金調達面では預金のほか連邦住宅貸出銀行(FHLB)からの借入や保有証券の償還を活用すると明示しています。拠点の一部はリースで運営しており(Sherwood Oaksなど)、出店は慎重に行いながらも地域でのシェア拡大を目指しています。自社株買いの実行は資本の余裕があることを示す一手であり、株主還元と資本効率の両立を図っています。

技術革新への取り組みとして、同社はインターネットバンキングと新しいモバイルアプリを導入・推進しており、これらを通じて低コストのコア預金獲得と顧客利便性向上を狙っています。経営陣は情報システムの近代化や内部統制の維持に投資する必要性を認識しており、こうした投資が収益寄与に至るまで追加支出が発生する可能性も開示しています。加えて、経営陣はCOSO基準に基づく内部統制評価を実施し、2021年6月30日時点で有効性を確認している点を投資家に伝えています。