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Select Water Solutions, Inc.WTTR
事業内容
Select Water Solutions, Inc.は米国のエネルギー産業向けに持続可能な水管理ソリューションを提供する企業です。同社は産出水の回収・処理・再利用や配管網による輸送、注入処分施設の運営により、油・ガス開発で発生する水のライフサイクル全体を取り扱っています。
主要な顧客は探査・生産を行うエネルギー会社で、完井や生産段階で大量の水を必要とする事業者が中心です。同社の収益はインフラ利用料、現場での水の移送・処理などのサービス料、そして化学薬剤の販売や長期契約からの安定収入で構成されています。2024年は単一の顧客が売上の10%を超える依存先にはなっていません。
事業は三つのセグメントに分かれており、水インフラ部門は配管網やリサイクル施設、処分井などの固定資産を運用しています。水サービス部門は水源確保、輸送、流出管理やネットワーク自動化、宿泊・レンタルなどの現場サービスを提供し、化学技術部門は掘削や完了作業向けの薬剤や水処理用ポリマーなどの開発・製造・供給を行っています。
経営方針
同社は持続的な成長と健全な財務基盤の両立を目指しています。直近の業績では2024年のEBITDAが2億1,290万ドル、調整後EBITDAは2億5,840万ドルと前年を上回っており、同社はプラスのフリーキャッシュフローと強いバランスシートを優先する方針です。資金面では現金と運転資金、そしてSustainability‑Linked(持続可能性連動型)クレジット・ファシリティを主要な調達手段としており、2024年末の有利子負債は8,500万ドル程度です。配当や自社株買いも資本配分の一環で、四半期配当は2024年11月以降0.07ドル/株、株式買戻し枠は最大2,500万ドルを設定しています。
同社は投資の重点を水インフラ、現場サービス、化学製品の三領域に置き、これを差別化の柱としています。パイプラインや再利用処理施設、処分井などの「固定資産」に対する投資で供給網を拡充すると同時に、輸送や現場での水管理などのサービスを組み合わせることで顧客に一貫したソリューションを提供します。化学技術部門は現地生産(インベース製造)で薬剤を供給し、リサイクル工程で使う乳化ポリマーなど自社製品を活用することでコスト競争力を高めています。2024年の設備投資支出は約1億7,320万ドルで、成長投資と既存資産の維持に重点配分しています。
新市場開拓と事業拡大は、買収と地域展開を柱にしています。2024年にはTri‑State(約5,830万ドル)、Rockiesの処分・集積資産(約1,810万ドル)など複数の買収を実行し、同年の買収総額は約1億4,811万ドルに上りました。特にパーミアンやヘインズビル、ロッキー山脈、マルセラス/ユティカなどの主要盆地でのインフラ強化により、顧客の複数井戸をまとめた大規模開発に対応する態勢を整えています。さらに2025年にはAV Farmsというパートナーシップを通じてコロラド州の大規模な水保有・貯留資産を商業化する計画を発表しており、農業・自治体など新たな顧客層への展開も視野に入れています。
技術革新については、処理・再利用技術とデジタル化を重視しています。同社は「FluidMatch」のような水質プロファイリングや流体評価の仕組みを導入し、現場で複数の水源や薬剤をその場で処理・混合する「オン・ザ・フライ」型の運用を進めています。これに加え、掘削・完了活動や自社インフラの位置情報を統合した独自データベースや自動化ツールを営業・運用に活用することで、効率化と短期間での対応力を高めています。人材面でも現場教育と標準作業手順を徹底し、安全・環境配慮を保ちながら技術導入を進めることを重視しています。