WisdomTree, Inc.WT

時価総額
$16.1億
PER
ETPやデジタル資産を手掛ける資産運用の大手。ETP、デジタルファンド、トークン化商品を展開。2023年3月の株主権利計画採用と過去4年で1億ドル超の自社株買い。米国・欧州中心のグローバル展開と従業員313人の体制。

事業内容

WisdomTree, Inc.は上場投資信託(ETF)やそれに類する上場投資商品を通じて投資家に市場アクセスと運用ソリューションを提供する資産運用会社です。同社は独自の指数設計やクオンツを活用した商品開発を行い、近年はビットコインなどのデジタル資産やトークン化商品にも力を入れています。

主要な顧客は機関投資家、金融アドバイザーや独立系助言者、証券会社を通じる個人投資家などで、取引所や証券プラットフォーム経由で販売しています。同社の収益は運用資産残高に応じた運用管理報酬が中心で、これに加えて指数ライセンス料、助言報酬、取引や貸株などの付随サービスからの手数料も得ています。業績は市場の動向や資金流出入に左右されやすい構造です。

事業は大きく米国株関連、債券(固定収入)、商品・通貨、デジタル資産の各ラインと、金融機関向けのモデル運用・アドバイザー支援サービスに分かれます。同社は米国株やセクターフォーカス商品、利回り強化を狙う債券商品、金などのコモディティや為替連動商品に加え、デジタルファンドやトークン化商品の拡充を進め、アドバイザー向けにはCIO管理モデルやポートフォリオ診断・共同運用といったソリューションを提供しています。

経営方針

同社は持続的な成長と収益基盤の多様化を目指しています。具体的には、2024年末の運用資産残高(AUM)は1,098億ドルで前年同期比9.6%増、収益は前年から22.5%増、営業利益は56.9%増と高い伸びを示しており、営業利益率は700ベーシスポイント拡大しました。今後も上場投資信託(ETP)を中核にスケールを拡大するとともに、アドバイザー向けモデルやデジタル商品などで手数料以外の収入源を増やすことを重視しており、2024年のその他収益は3,240万ドルに達しています。過去4年間で1億ドル超の自社株買いを実行するなど資本配分にも慎重に取り組んでいます。

同社は商品開発と販売力の強化を差別化戦略の中核に据えています。自社でインデックスを開発する「自社索引(セルフインデックス)」により外部ライセンス費用を抑え、スピードを上げて独自性のある商品を市場投入することを目指しています。販売・調査・マーケティングに約39%の人員を割き、助言者向けのモデル・ポートフォリオなどを通じてプラットフォーム(Merrill Lynch、LPL、UBS、Charles Schwab、Envestnet、Adhesion 等)へのアクセスを拡大しており、2024年には少なくとも1つのモデルを採用するアドバイザー数が2,500人を超えました。これにより顧客との関係を深め、資産残高の安定的な拡大と高品質な収益の確保を狙っています。

同社はブロックチェーンやデジタル資産分野での新市場開拓を積極的に進めています。消費者向けウォレット「WisdomTree Prime」や機関向けの「WisdomTree Connect」を通じてビットコイン、イーサリアム、トークン化金など13のデジタル・ファンドや米ドルトークンへのアクセスを提供し、デビットカードによる支払い機能も展開しています。規制面での承認が進む中、同社は「責任ある分散型金融(DeFi)」の枠組みで規制順守を重視しながらトークン化の初動を捉え、既存事業と収益の多様化を図ることを目指しています。

同社は技術革新を成長の推進力と位置づけ、実務に人工知能(AI)を段階的に導入して業務のスケール化と効率化を図っています。また、助言者向けのデジタルツールやポートフォリオ構築支援、クラウド型の運用基盤を強化し、運用や計算業務の一部は外部委託でリスクを低減しています。デジタル資産事業ではマネーロンダリング対策やデータ保護の体制整備にも投資しており、同社は技術とコンプライアンスを両輪に、持続的な成長と顧客信頼の獲得を目指しています。