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WATSCO INCWSO
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事業内容
WATSCO INCは北米最大級の空調・冷凍設備の流通業者で、住宅や商業施設向けのエアコン、暖房機、冷凍機器とそれらの部品・消耗品を販売しています。同社は機器販売に加え、豊富な在庫と倉庫網を活かした即日供給や販売時の技術サポート、取引先向けの営業支援ツールや消費者向けの分割支払いサービスなども手がけています。
主な顧客はライセンスを持つ空調・暖房の取付業者や修理業者で、約13万人のアクティブな業者にサービスを提供しています。売上は既存機器の交換(リプレースメント)市場が中心で、同社は迅速な商品供給と現場支援、オンラインでの注文・在庫確認・配送手配などで収益を作っています。
事業の中身は機器本体の販売、部品・消耗品の供給、そしてデジタルや金融を組み合わせたサービスの三本柱で成り立っています。同社は米国・カナダ・メキシコ・プエルトリコにわたる多数の倉庫拠点と輸送網を持ち、主要メーカーと緊密に連携して商品を調達するとともに、地域企業の買収や自社ブランド商品の投入で販売領域を広げています。
経営方針
同社は主に「高付加価値の交換(replacement)市場」を柱に、既存事業の深化と買収を組み合わせた成長を目指しています。具体的には、顧客利便性を高めることで高マージン商品へのシフトを進め、株主還元も継続しています。たとえば、2024年3月に配当再投資プラン(DRIP)を導入し、過去には取締役会が1999年に承認した最大7,500,000株の自己株式取得枠の下で累計6,370,913株・費用総額約1.144億ドルを取得してきました(残枠は1,129,087株)。また、2019年から2024年の期間で同社の株主総利回りは指標に対して高い成長を示し、投資家還元と成長の両立を図っています。
同社は倉庫網、在庫量、現場支援力への投資を差別化の中核としています。2024年末時点で690の倉庫・配送拠点を運営し、総延べ床面積は約1,650万平方フィートに達しており、豊富な在庫と多数拠点によって「即時供給」を求める工事業者のニーズに応えています。商品面では既存ベンダーからのライン拡大やプライベートブランドの導入を進め、主要仕入先の上位10社で購買の約85%を占める供給体制のもと(内訳例:Carrier約62%、Rheem約9%)、地域密着の販売・マーケティング支援や技術相談を通じて大手工場直営網や小規模競合と差別化しています。
同社は地理的拡大を買収で積極的に進める方針で、1989年以降に70件のHVAC/R流通事業を買収してきました。既に米国43州に加え、カナダ、メキシコ、プエルトリコへ展開しており、今後もサプライヤーからの独占・拡大権の獲得や、業務提携・ジョイントベンチャーを通じて新地域や未開拓セグメントへの進出を図る計画です。買収後は従来ブランドや経営陣の継続を重視して統合リスクを抑え、ローカルな顧客関係を維持しながら規模の経済を追求する戦略を採っています。
同社は技術革新を成長エンジンと位置づけ、子会社Watsco Venturesを通じてデジタルソリューションに投資しています。代表例として、工事業者向けのデジタル販売プラットフォーム「OnCall Air」と消費者向けのファイナンス機能「OnCall Air Finance+」を展開し、24時間利用可能なECやモバイルアプリと連携して受注から決済までの効率化を図っています。加えて、サイバーセキュリティ対策として専任チームと外部専門家を活用した監査・テスト体制を整備し、デジタル基盤の信頼性向上にも投資を続けています。