WESCO INTERNATIONAL INCWCC

時価総額
$120.2億
PER
電材・工業用品のグローバル流通・サプライチェーンサービスの最大手。多数ブランドの製品とデジタル供給網を展開。2020年の合併、2022年の大手買収、2024年に複数社買収と事業売却。北米・欧州・南米中心に約50カ国で展開。

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企業概況
118文字)
業績概況
テーマ
1項目)
ブランド
ライバル企業
3社)
同業種の日本企業
3社)

事業内容

WESCO INTERNATIONAL INCは、電気部材や通信・ネットワーク機器、配線資材などの仕入れ・販売を主に行い、調達から物流、現場での施工支援までを一貫して担うサプライチェーン企業です。幅広いメーカー製品の流通と現場向けの付加価値サービスが主力で、オンライン発注や在庫管理などのデジタルツールも活用しています。

同社の顧客は建設・製造業者、電力・通信事業者、公共機関や教育機関など多岐にわたり、約14万のアクティブ顧客を抱えています。収益は製品販売が中心ですが、在庫管理やプロジェクト展開、設置支援といったサプライチェーンサービスからの継続的な収入も重要で、上位10社で売上の約12%を占めています。

同社は複数の事業セグメントで事業を展開し、電力配電・制御、通信・データセンター向け機器、配線・ケーブル、照明・省エネ製品、安全・セキュリティ用品などの製品ラインを扱っています。加えて在庫最適化や現場配送、エネルギー効率化のソリューション、ソフトウェアによる運用支援などの付加価値サービスを組み合わせ、グローバルな物流網で地域ごとのニーズに応えています。

経営方針

同社は長期的に業界平均を上回る売上成長を目指しています。直近の売上は2024年に約218億ドルで、前年から2.5%減少、オーガニックでは約0.6%の減少となりましたが、経営陣は規模や品揃え、サービスで優位性を持つことにより「業界より速い成長」を実現する方針を掲げています。株主還元や資本政策も運用上の柱で、取締役会は最大10億ドルの自社株買い枠を承認しており、2024年は約4.25億ドルの自社株買いと四半期配当(1株当たり0.413ドル)を実施しました。資金面では、リボルビング・クレジットで約12億ドル、売掛金担保枠で1億ドルの借入余力を保有しており、運転資金や設備投資、M&A資金を既存の現金や営業CF、借入で賄う計画です。

重点投資分野は流通網と顧客向けの付加価値サービスで、同社は700以上の拠点と約50か国での営業ネットワーク、北米・欧州・南米の主要地域に59の地域配送・フルフィルメント拠点を有しています。仕入先は3万5千社以上で、470社超と優先的な取引関係を結び、全仕入れの約66%をこれらの契約下で調達する仕組みを整えています。こうした広い品揃えと地場対応力に加え、現場の技術サポートや在庫管理、施工・導入支援といったサービスを組み合わせることで、単なる商品の販売ではなく「エンドツーエンドの供給ソリューション」を差別化の核にしています。

新規市場開拓と事業拡大は、選択的な買収と事業の組み替えで進めています。過去の大型統合では2020年のAnixter統合、2022年のRahi Systems買収、さらに2024年にはentroCIMやIndependent Electric Supply、Ascentなどを取得しており、ソリューション領域や地理的な幅を広げています。一方で不要事業の切り離しも行い、2024年にはWesco Integrated Supplyを約3.55億ドルで売却し、1.22億ドルの売却益を計上しました。M&Aの狙いはデータセンターやビル管理といった成長領域の強化ですが、統合コストや人材流出、想定通りのシナジーが得られないリスクも明確に想定しています。

技術革新への取り組みではデジタル化を経営トップの重点施策と位置づけ、顧客接点とサプライチェーンの効率化に投資しています。2025年の資本支出計画では情報技術やグローバル拠点支援に向けて約1.2億ドルを見込んでおり、2024年にはデジタル化関連コストとして約2,490万ドルを計上しました。具体的にはEコマースやベンダー管理在庫、現場での使い勝手を高めるシステム、最終段階の配送最適化などを進め、データから需要や顧客行動の洞察を得て営業・在庫を最適化する狙いです。導入にはシステム統合や運用リスクが伴うため段階的に進め、外部ソフトや買収先の技術も取り込みながら有効性を高める方針です。