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WAFD INCWAFD
事業内容
WAFD, INC はワシントン州に本拠を置く持株会社で、主に同社傘下の銀行を通じて地域密着型の銀行業を営んでいます。個人や企業向けの預金口座、各種ローン(住宅ローンや事業向け融資)、モーゲージの組成・販売、資産運用サービスなどを中心に事業を展開しています。
同社の主要な顧客は個人預金者や住宅購入者、中小企業や商業不動産の事業者などで、預金を原資に貸出を行うことが収益の中心です。利ざや(貸出金利と調達コストの差)による利息収入が主力で、ローンの販売手数料や口座手数料、資産運用手数料といった手数料収入も補完的な収入源になっています。
事業は大きく商業部門と消費者部門、モーゲージ(住宅ローン)部門、ウェルスマネジメントや投資証券運用などに分かれます。商業部門では商業不動産や建設向け融資、企業向け融資を扱い、消費者部門では住宅ローンやホームエクイティ、個人向けローンを提供し、モーゲージ部門では貸出を保有するほか市場向けにローンを販売することで収益機会をつくっています。
経営方針
同社は地域密着の規模拡大を成長戦略の中核に据えており、M&Aと有機成長の両輪で収益基盤を拡大することを目指しています。直近では2024年3月1日にLuther Burbankを買収し、買収対価は約4.655億ドル(発行株式17,088,886株、完了時点で約21%の投票権比率)で、買収により取得した貸出金は約31.9億ドル、取得時点の総資産は約76.8億ドルに達しました。こうした大型の企業買収により預金基盤と貸出残高を短期間で大きく伸ばし、配当や自社株買いを継続的に実施することで株主還元も重視しています(2024会計年度の普通株配当は約7,426.7万ドル、自己株式取得は約2,706.9万ドルを計上)。
重点投資分野は預金基盤の強化と貸出ポートフォリオの質向上、ならびに人的資源への投資です。同社は預金という安定的な資金源を重視しており、買収により顧客預金を約56.4億ドル取り込むなど資金調達力を高めています。一方で貸倒れリスク管理や引当金(ACL)の適正化に注力しており、ローンの公正価値評価や信用コストの見積もりに外部評価や定量的手法を採用してリスク差別化を図っています。また従業員教育や持株制度(ESPP)など人材定着策にも投資し、顧客サービスでの差別化を図っています。
新市場開拓と事業拡大は主にM&Aを通じて進められており、今回のLuther Burbank統合のように地域的なフットプリント拡大を狙っています。買収後は当該銀行の営業店や融資関係をWaFdのプラットフォームに統合し、コアデポジットの維持・効率化(取得したコアデポジット無形資産は約3,702万ドル)やローン再評価を行うことでシナジー創出を目指しています。ただし、将来の成長資金として自己株発行や外部借入に依存する可能性があるため、希薄化や資金調達コストの管理も並行して行う方針です。
技術革新については情報・金融リスク管理の高度化を通じた競争力強化を目指しています。同社は情報セキュリティ体制をNIST等の基準に合わせ、CISAや業界の情報共有組織と連携して外部脅威への監視・検査を実施、従業員に対して四半期ごとの必須研修や模擬フィッシング試験を行うなど人的対策も強化しています。加えて取締役会の技術委員会やリスク管理委員会が四半期ごとに状況を監督しており、生成系を含む人工知能の法規制リスクにも注意を払いながら、顧客向けデジタルサービスと内部運用の両面で段階的に投資を進めることを目指しています。