VERIZON COMMUNICATIONS INCVZ

時価総額
$1723.6億
PER
ワイヤレスと有線の通信サービスの世界最大手。5G・FWAを活用した固定無線アクセスや企業向けマネージドセキュリティを展開。2021年11月のTracFone買収や2024年9月のFrontier合併合意。米国中心に世界で展開。

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企業概況
194文字)
業績概況
132文字)
テーマ
1項目)
ブランド
2項目)
ライバル企業
2社)
同業種の日本企業
4社)

事業内容

Verizon Communications Inc.は米国を拠点とする大手通信持株会社で、移動通信と固定回線を中核に事業を展開しています。主力サービスはポストペイド/プリペイドの携帯電話サービスや光回線「Fios」、固定無線アクセス(FWA)による家庭向けブロードバンドで、端末販売や設置・保守、顧客向け機器の提供も行っています。

同社の顧客は個人消費者に加えて大企業や政府機関、中小企業、そして他の通信事業者(卸売顧客)まで幅広く、収益は主に通信サービスの契約収入と端末販売から得ています。事業向けの売上は大口の企業・公共部門と中小企業向けで大きく分かれ、ビジネス部門内ではEnterprise & Public Sectorが約48%、Business Marketsが約44%、Wholesaleが約8%(2024年)を占めています。

同社の事業は消費者向け、ビジネス向け、卸売りの三つに分かれる点が特徴です。消費者向けは携帯と家庭向けインターネットを軸に端末や映像サービスを扱い、ビジネス向けは大企業・公共機関向けのネットワーク構築、管理型セキュリティ、IoT接続やクラウド接続などの付加サービスを提供します。卸売りでは他社が同社の回線を使えるようにするデータ・音声・アクセスサービスを供給し、販売は直営店、代理店、大手小売やデジタルチャネルを組み合わせて行っています。

経営方針

同社は高品質なネットワーク基盤と法人向けサービスの拡大を通じて、安定したサービス収入の成長と株主価値の向上を目指しています。2024年時点でエンタープライズ・公共部門の売上は約142億ドル、Business Markets & Otherは約131億ドル、卸売は約22億ドルと、法人向け収益が事業の重要な柱になっています。株主還元の一環としては、2020年に最大1億株の自社株買い枠を設定しており、時価総額は2024年6月末時点で約1,736億ドル、発行済株式数は2025年1月末で約42.1億株といった規模感で事業を運営しています。

同社の重点投資分野はネットワークとスペクトル、そしてソフトウェア・運用基盤の強化です。固定資産の総額は約3310億ドルに達しており、その約78%がネットワーク関連設備に充てられているため、通信品質とカバレッジが差別化要因になっています。周波数(スペクトル)関連の取り組みでは、Cバンド入札や他社からのライセンス取得に積極的で、入札に伴うクリアリング費用は推定75億ドル、関連支払は2022〜2024年に断続的に行われています。また、今後数年で契約上解約不能の購入義務(機器、ソフト、コンテンツ等)は合計約167億ドルと見積もられており、2025年には約62億ドルの支出が見込まれています。こうした長期投資と大口調達によって、同社はネットワーク性能と顧客向けサービスの差別化を図っています。

新市場開拓や事業拡大では、買収と提携を通じた顧客基盤の拡大を明確に打ち出しています。トラックフォーン(TracFone)の買収は買収対価として現金約35億ドルと約5,760万株、最大で追加現金約6.5億ドルの業績連動支払いを含み、2024年1月に条件付き支払いが完了しました。さらに2024年9月にはブロードバンド事業者フロンティアの買収合意(1株当たり38.50ドル)を発表しており、規制承認を前提に固定ブロードバンド領域の拡大を狙っています。加えて、MVNO向けの卸売提供や家庭向け固定無線アクセス(FWA)、IoTや法人向けセキュリティ・マネージドサービスの拡大にも注力しています。

技術革新への取り組みでは、5G(第5世代)ネットワークとその関連ユースケースの実用化、ネットワークの連続的なスペクトル最適化、社内IT基盤の近代化を並行推進しています。社内業務の効率化・情報の迅速化を目的に2020年から段階的に導入しているグローバルERP(基幹業務システム)の実装が継続中で、非ネットワーク系の内部ソフトウエア投資も大きく(原価ベースで約281億ドルの計上)進めています。サイバーセキュリティ面ではNISTフレームワークに準拠した包括的な体制を整備し、検知・対応・修復のプロセスと指標で運用を管理しています。なお、事業再編や競争環境の変化により、ビジネス部門に配分されたのれん(約17億ドル)を含む資産の減損リスクは経営の注視項目として示されています。