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Vertex Energy Inc.VTNR
事業内容
Vertex Energy Inc.は使用済みのエンジンオイルなどの石油系廃棄物を回収し、自社や提携先の設備で再精製して再利用可能な燃料や基油などの製品に加工する事業を主に行っています。同社は回収・輸送・貯蔵の物流機能と再精製設備を組み合わせ、再生された蒸留燃料や基油、船舶用低硫燃料などを市場に出しています。
主要な顧客は潤滑油の充填業者、流通業者、ブレンダー、工業用の燃焼機器ユーザーや再精製業者などで、商品販売が収益の中心です。同社は長期の売買契約(月間最低供給量の定め)とスポット取引を使い分け、品質や数量に応じた価格設定やコストプラスの契約を組み合わせて収益の安定化を図っています。
事業は主にBlack OilとRecoveryの二つのセグメントに分かれ、Black Oilは使用済み油の直接回収・集約とフィードストックの販売、再精製施設の運営を担います。Recoveryは発生源向けの回収ソリューション、金属の回収や海上サルベージ、スポット市場での売買や案件単位の業務を扱っています。さらに同社は収集車や輸送トラック、貯蔵タンクやターミナルなどの物流インフラを保有し、トラック・鉄道・バージによる配送で安定供給を維持しています。
経営方針
同社は再生燃料や持続可能な製品分野での成長を加速するため、バランスシートの強化と資産開発を両輪にした成長戦略を進めています。投資銀行(BofA)を戦略アドバイザーに起用して潜在的な戦略的取引の検討を進めており、買収やパートナーシップ、合弁事業を通じて事業規模を拡大する方針です。直近の実績として、2023年の直近12か月で約6,790万ガロンの使用済み潤滑油等を集荷し、そのうち約5,970万ガロンを自社の再精製プロセスで処理しています。発行済株式数は2024年3月6日時点で約9,351万株、市場価値は開示時点で約5.35億ドルといった規模感を有しています。
同社は供給安定化とコスト競争力を高めるため、原材料の確保と物流へ重点的に投資しています。約68台の収集車両と30台の輸送トラック、80基超・合計8.0百万ガロン超の地上タンクを保有し、陸・鉄道・水運を組み合わせた輸送網で大口顧客の納入要求に対応しています。さらに長期の最低月間供給契約を締結することで給油元との関係を強化し、原料価格変動の影響を緩和する仕組みを構築している点が差別化の柱です。
新市場の開拓では、低硫分のVGO(真空減圧留出油)を海運燃料分野へ販売するなど高付加価値製品の拡大を図っています。事業拠点は主に米国の湾岸、米中西部、東海岸の5州で展開しており、マレロ(Marrero)やマートルグローブ(Belle Chasse)などの再精製設備に加え、モバイルの製油設備など戦略的資産の組み替えや売却・共同事業の検討を通じて市場ポジションを強化する計画です。販売先は包装業者、配給業者、ブレンダー、工業用燃焼機器など多様で、製品ミックスの多様化で価格変動リスクを抑えています。
技術革新と内部統制の強化にも取り組んでいます。再精製で用いる独自プロセス(VGO・ベースオイルの処理技術や、ターミナルでの熱化学抽出プロセスなど)を活用して高付加価値化を進める一方、内部統制上の課題に対しては外部専門家の支援を受けてSOX対応の内部組織を新設し、IT統制をCFO直下に再編するなど具体的な改善策を実行しています。これによりコンプライアンスと財務報告の信頼性を高め、将来の資金調達や事業拡大に耐えうる体制づくりを目指しています。