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Vistra Corp.VST
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事業内容
Vistra Corp.は、小売の電力販売と発電を一体で手がける統合型のエネルギー事業者です。同社は天然ガス・石炭・原子力・太陽光・蓄電池を含む多様な発電設備で約41,000メガワットの発電能力を保有し、発電、卸売取引、商品リスク管理と小売販売を組み合わせた事業モデルで電力を供給しています。
同社の顧客は一般家庭から商業・産業向けまで約500万件に上り、特にテキサス州での顧客数が大きく約260万件を占めます。収益は小売の定期販売による安定収入と、発電や卸売市場での電力販売やトレーディングによる変動収入が混在しており、発電と小売を組み合わせることで価格変動リスクの緩和を図っています。
同社は事業を小売、テキサス、東部、西部、資産廃止の五つの報告セグメントで管理しています。小売は複数のブランドで電気と天然ガスを販売し、テキサス/東部/西部セグメントは発電所の運転と卸売市場での販売を担い、資産廃止セグメントは引退した発電所や鉱山の閉鎖・復旧作業を行っています。
経営方針
同社は長期的に「統合型エネルギー企業」としての収益成長と安定化を目指しています。具体的には発電容量約41,000MWの多様な発電ポートフォリオと、約500万件の小売顧客(テキサス州では約260万件)を結びつける統合モデルを強みに、卸売・小売・発電を連携させて収益の変動を抑えつつ成長を図っています。2024年にエナジー・ハーバー買収で原子力発電を約4,048MW取り込み、発電・小売の規模と安定性をさらに高めたほか、株主還元では総額最大67.5億ドルの自社株買い枠を設定し、これまでに約1億4087万株、約44.7億ドルを買い戻すなど、資本配分の規律を重視しています。
同社は重点投資分野として低炭素化と信頼性確保を両立させることを掲げています。再生可能エネルギーや蓄電池(ESS)への開発・建設を推進しており、2024年には廃止予定サイトで合計112MWの太陽光発電を商業運転に移行、さらにイリノイ州とテキサス州の太陽光・蓄電に向けた信用枠(BCOP)を設定しています。同時に、老朽化した石炭火力を天然ガスに転換するリパワー計画(例:Coleto Creekを遅くとも2027年までにガス化)や、原子力の保有・運用強化を進めることで、単なる再エネ偏重ではない「信頼性のある移行」を差別化戦略としています。
新市場開拓や事業拡大では、既存の18州+DCでの小売基盤を生かした大口需要者向けの長期電力供給や、地域ごとの発電・供給最適化に取り組んでいます。長期供給契約の検討先としてデータセンターなど大口負荷の需要が挙がっており、これに対応するための交渉や規制対応を進めていると同時に、再生可能・蓄電所の新規開発を段階的に進めることで地理的・技術的な拡大を図っています。資金面では2024年に発行した優先的社債や既存の買収資金を活用し、成長投資とバランスシートの強化を両立させています。
技術革新への取り組みでは、送配電側・需要側双方でのデジタル化と運用高度化を重視しています。同社は顧客向けに100%再エネ選択やスマートサーモスタット、ダッシュボードなど省エネ・需要制御ツールを提供し、また発電側では蓄電池の事業化や運転最適化を進めています。運用面では安全文化を優先し従業員約6,850名の体制で「Best Defense」を標語に事故予防と学習を徹底しており、技術と人材の両面で信頼性と効率性を高めることを目指しています。