VERTEX PHARMACEUTICALS INCVRTX

時価総額
$1095.9億
PER
希少疾患向けバイオ医薬品の米国最大手。CF治療薬と遺伝子・細胞療法のパイプラインを展開、従業員数は約6,100人。2024年に約48億ドルで大型買収を実施、2023年に30億ドルの自社株買い枠を設定。米国中心に世界展開。

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企業概況
109文字)
業績概況
テーマ
1項目)
ブランド
2項目)
ライバル企業
5社)
同業種の日本企業
2社)

事業内容

VERTEX PHARMACEUTICALS INCは、主に重い遺伝性や希少疾患を対象とした革新的な医薬品の研究・開発と承認後の販売を行うバイオ製薬会社です。同社は特に嚢胞性線維症(CF)向けの治療薬で知られ、早期に有望な作用機序を示す候補を臨床開発へ進める戦略をとっています。

同社の主要な顧客は医療機関や薬局、そして公的医療制度や民間保険などの第三者支払者で、収益は承認済み医薬品の販売に大きく依存しています。特にCF薬が売上の大半を占めるため、各国での償還や価格交渉が業績に直接影響します。

同社は事業を一つの医薬品セグメントで運営し、製品ラインは商業化済みのCF治療薬群と、鎌状赤血球症や重症貧血、疼痛、自己免疫疾患などを目指すパイプラインで構成されています。研究開発は内部投資に加え外部企業や研究機関との提携や買収で補強し、製造・供給は社内能力と世界中の外部委託を組み合わせて確保し、規制対応と品質管理に注力しています。

経営方針

同社は持続的な成長と株主価値の最大化を目指しています。主な収益源は嚢胞性線維症(CF)関連の製品であり、この事業を強化して「より多くの患者が同社の治療を受けられるようにする」ことを成長の中核に据えています。具体的施策としては、製品投入と市場浸透の加速、臨床データに基づく適応拡大の推進、そして資本政策では株式買戻しプログラム(上限30億ドル、2024年末までに約16億ドルを実行)を通じて余剰資本を株主還元に使う方針を取っています。

重点投資分野はCFに加え、細胞・遺伝子治療や遺伝子編集、免疫性腎疾患などの希少・難治疾患です。差別化の軸としては、一度の投与で高い効果を狙う遺伝子治療(CASGEVY が一例)や、既存の治療と比較して臨床的に優位を示すことを目標とした候補薬の迅速な追随(first‑in‑class の証明後に best‑in‑class を狙う開発戦略)を掲げています。外部からの技術導入や企業買収も積極的で、例えばAlpine買収には総額約50億ドルが投じられ、同社は買収資産のうち約44.2億ドルを研究開発費として処理しました。

新市場開拓と事業拡大については、CASGEVY が米国、欧州、英国、カナダ、スイス、中東の複数国で承認を取得しており、JOURNAVX(急性疼痛治療)は米国で2025年1月に承認・商業発売を開始しました。国際展開の具体策としては、povetacicept の中国・香港・台湾・シンガポール等での開発・商業化を現地企業(Zai Lab)と共同で進めるライセンス契約を結ぶなど、現地パートナーを活用して各地域での規制申請と販売体制を構築しています。製造面では商業供給の安定化のため連続製造設備を含む自社拠点整備やグローバルな外部サプライチェーン強化に投資しており、本社周辺に合計約110万平方フィート、継続製造施設として約21.3万平方フィートの設備を保有・賃貸しています。

技術革新への取り組みは研究開発投資と外部連携の両輪で進められています。同社は複数のモダリティ(小分子、抗体、オリゴヌクレオチド、細胞・遺伝子治療など)に並行投資し、2025年にはCF向け候補のVX-522や1型糖尿病向けVX-264の重要データ公表を予定するなど臨床進捗を加速させる計画です。さらに、オルナとの脂質ナノ粒子を用いた送達技術や外部から取得したGPCRや補体関連プログラムなどを取り込み、製剤・投与法の革新で競争優位を築こうとしています。これらを通じて、同社は「科学的優位性に基づく持続的な製品群の拡大」を実現しようとしています。