VIRTUS INVESTMENT PARTNERS, INC.VRTS

時価総額
$10.9億
PER
機関投資家・個人向けの投資運用サービスの大手。株式・債券・マルチアセット・代替戦略やETFなど多様な運用商品を展開。オープンエンド資産47,814百万ドル(2024年12月31日)と、2024年に自社株買いで201,233株・4,510万ドルを取得。米国中心に欧州・アジアで展開。

事業内容

VIRTUS INVESTMENT PARTNERS, INC.は複数の運用チームによる投資戦略を集めて提供する資産運用会社で、株式、債券、マルチアセット、オルタナティブなど幅広い資産クラスで運用を行っています。同社はミューチュアルファンド、上場投資信託(ETF)、クローズドエンドファンド、投資一任口座や富裕層向けのウェルスマネジメントを主力商品としています。

同社の主要な顧客は大学基金や財団、企業年金や公的年金、政府系ファンドなどの機関投資家と、金融機関を通じて商品を購入する個人投資家や富裕層です。収益は主に運用資産残高に対する手数料で構成されており、投資運用手数料に加えてファンド管理、販売や株主サービスに関する資産ベースの手数料が中心になっています。

事業面では複数の運用チームと多様な運用手法を組み合わせるモデルを採用し、一部の個人向けファンドでは外部運用会社に運用を委託しています。同社は機関向けに別建て口座や共同運用口座、サブアドバイザーとしての助言を提供し、個人向けは各種ファンドや個別の投資一任口座、富裕層向け助言サービスで提供しています。さらに運用チームには販売や業務面での支援を行い、幅広い販売経路を通じて顧客にアクセスしています。

経営方針

同社は資産規模と収益性の拡大を目指しています。2024年末の運用資産(AUM)は約1,750億ドル、同年の総収入は約9.07億ドル、営業利益は約1.83億ドルを計上しており、これらを基盤に成長を図っています。ただし、2024年の純資金流出は約104億ドルと流入は限定的であるため、短期的には市場動向に左右される収益変動を抑えつつ、安定的な資産残高の確保と手数料収入の拡大を目標にしている点が特徴です。なお、同社は具体的な中長期の数値目標を開示していませんが、自己株買い(2024年に201,233株、約4,510万ドルを買戻し)などで株主還元と資本効率の向上を図っています。

重点投資分野と差別化戦略として、同社は「マルチマネジャー・マルチスタイル」モデルを掲げ、独立性の高い運用チームを複数擁することで商品ラインを幅広く揃えています。株式、債券、マルチアセット、オルタナティブを含む多様な資産クラスを揃え、オープンエンドやクローズドエンド、リテール別勘定、ETFといった複数の運用形態で提供することで顧客の選好や市場環境の変化に対応しています。商品やチャネルごとに差別化された運用プロセスとブランドを保有し、販売面では米国の大手・地域系ブローカー、独立系助言会社、銀行・保険会社など広い流通網を活用している点が競争優位です。

新市場開拓や事業拡大の計画には、既存チャネルの強化とM&Aによる能力補完が含まれます。機関投資家では財団・年金・ソブリンなど主要セグメントを重視し、リテールでは仲介業者を通じた拡販や高額資産者向けのウェルスマネジメントを拡大しています。加えて、他社買収や資産取得を通じた事業拡大も積極的で、例えば2023年にAlphaSimplexを約1.134億ドルで取得して運用能力を補強した実績があり、今後も有望な戦術的買収やファンドのシーディング、新商品の立ち上げに資本を振り向ける方針です。

技術革新への取り組みでは、情報保護と運用効率化を両輪で進めています。同社は最高情報セキュリティ責任者(CISO)主導の下、層状の防御設計や外部委託先との協調を組み込んだサイバーセキュリティ体制を整備し、リスク管理プロセス(ERM)にサイバーリスク評価を組み込んでいます。また、運用の定量化やデータ分析、ファンド運営のためのIT投資、商品シーディングや運用プラットフォーム強化など技術インフラへの継続的な投資を行い、なお約7.75億ドル相当ののれん・無形資産を保有するなかで、資産の価値管理や減損リスクにも注意を払っています。